モロッコの海沿いにある小さな仕立て屋 病と闘う妻の感動的な言葉 「青いカフタンの仕立て屋」公開決定

6月16日より劇場公開される、「モロッコ、彼女たちの朝」のマリヤム・トゥザニ監督最新作「青いカフタンの仕立て屋」の、予告編が公開された。

予告編は、モロッコの海辺の町サレの市場のシーンからスタートする。モロッコの伝統衣装であるカフタンの仕立て屋を営むハリムとミナ。そこに新しい弟子のユーセフが現れ、3人はカフタン作りを通して絆を深めていく。旧市街の市場や、大衆浴場(ハマム)、男たちがミントティーを楽しむカフェなど、素顔のモロッコの風景も映し出される。病と闘いながらもカフタン作りを支えるミナが、ハリムへ「愛することを恐れないで」の言葉を送る、感動的な場面も収められている。

あわせて公開されたポスタービジュアルは、窓辺に腰掛けて外の様子を眺めるハリムとミナの2人の横に、「あなたの人生は 素晴らしい」のコピーが添えられたデザインとなっている。さらに、青いカフタンに繊細な刺繍を施す様子や色とりどりの糸、ほほ笑み合う夫婦とユーセフの姿も切り取られている。

「青いカフタンの仕立て屋」は、カフタンドレスの仕立て屋を営む夫婦の物語。カフタンドレスとは、結婚式や宗教行事などのフォーマルな席に欠かせないモロッコの伝統衣装で、母から娘へと世代を超えて受け継がれる着物のようなもの。伝統を守る仕事を愛しながら自分自身は伝統からはじかれた存在と苦悩し、真の自分を隠して生きるハリムとその妻のミナの姿が描かれる。職人かたぎの夫を誰よりも理解し支えてきたミナだが、病に侵されて余命わずか。そこに若い職人のユーセフが現れ、3人は青いカフタン作りを通じて絆を深めていく。ミナの最期が迫るなか、夫婦は“ある決断”をする。

モロッコのセンシティブな問題を描き出した本作は、2022年のカンヌ国際映画祭「ある視点部門」に出品され、国際映画批評家連盟賞を受賞。さらに、2023年米アカデミー賞にモロッコ代表として国際長編映画賞のショートリスト(最終候補15本)にも選出された。ミナを演じるのは「モロッコ、彼女たちの朝」で、最愛の夫の死に沈むアブラを演じたルブナ・アザバル。過酷なダイエットを行い、最期の瞬間まで夫に愛と勇気をささげる妻を体現している。ハリムを「迷子の警察楽隊」のサーレフ・バクリが、若い弟子のユーセフを映画初出演のアイユーブ・ミシウィが演じている。

【作品情報】
青いカフタンの仕立て屋
2023年6月16日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開
配給:ロングライド
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