県高校総体前特集 バスケットボール男子(3) トランジションバスケと精神力の強さで勝ち上がる日田 【大分県】

県高校総体の前哨戦となった南九州四県対抗バスケットボール選手権(南九)の男子県予選では、別府溝部学園が2月の県高校新人大会に続き優勝した。頭一つ抜けつつある別府溝部学園を追うのは、どの高校か。県高校総体に向けて、実力校の現在地を探った。

第3回は古豪・日田。県新人大会は3回戦で敗退したが、南九県予選では3位に返り咲き、県高校総体のシード権を獲得した。

■昨年度の主な成績■

県高校新人大会 3回戦敗退

ウインターカップ県予選 ベスト4

県高校総体 ベスト4

2月の県高校新人大会は2点差で豊府に敗れ、3回戦敗退という予想だにしない結果に終わった日田。再帰をかけた南九県予選で豊府にリベンジを果たし、ベスト4に進出した。「新人大会の結果を今後にどう生かしていくかを頭に入れながら迎えた大会だった」と三ツ広荘規監督。この大会から新1年生も加わり、新たなチームづくりに励んでいる。

最大の課題はディフェンスの強化。日田の伝統でもある、攻守の切り替えが速い「トランジションバスケ」を強固なものにするためだ。「地元出身の選手だけで勝ち上がるにはディフェンス強化しかない」と言い続ける三ツ広監督。その「努力なくして勝ちはなし」の言葉を体現すべく、チームは練習を重ねている。突出した技術を持つ選手がいないため、全員で勝つバスケを目指す。そのためにはコミュニケーションも重要となる。ベンチも一丸となって声を出し、個々の能力を集結したチーム力で、ベストを尽くしていく考えだ。

南九県予選ではリベンジし3位となった

チームの主力となるのは、3年生のキャプテン・渡辺天斗と梶原成陽。「2人とも気持ちが強い。シュート成功率はまだ高いとは言えないが、気持ちで振り切ってくれる選手」と、三ツ広監督も信頼を寄せている。速さや突破力などがある2人から生まれる得点は多い。三ツ広監督は「フィニッシャーは渡辺や梶原だが、それまでの過程で周りがどれだけ動けるかが重要」と、チーム全体の攻撃力強化を図っている。県高校総体までに技術を積み上げていくのはもちろん、選手には精神力の強さも求める。「古いかもしれないが、全員で声を出し、たとえ泥くさくても気持ちで戦い抜くチームにしていきたい」

南九県予選を、負傷しながらも気力で戦い抜いた渡辺は「新人大会の結果がプレッシャーだったが、以前よりもチーム全体で戦えた大会だった」と振り返り、県総体に向けて手応えを感じた様子。「全員で勝つ」という意識を高めながら、挑戦者として上位チームに挑む。

キャプテンの渡辺天斗

(黒木ゆか)

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