『鬼滅の刃』不死川実弥を“原作勢”が推すのは何故?作中一のギャップがたまらない…!

4月より刀鍛冶編の放送がスタートしたアニメ『鬼滅の刃』。毎週のようにSNS上は盛り上がり、まだまだその人気は、衰えを見せることはありません。

これまでにもそんな『鬼滅の刃』から、様々なキャラクターの魅力を解説してきた本コラム。
今回その中からご紹介するのは、鬼殺隊のトップ・柱の一員である風柱・不死川実弥についてです。

※記事の性質上、内容に触れています。

『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』キービジュアル

柱イチ恐れられている風柱。原作を読めば印象が変わる

鬼殺隊の中でもトップクラスの実力を持つ隊士である柱。そのうちの一つ、風柱の名を冠する不死川実弥はその名の通り風の呼吸を極めた剣士です。

無造作に跳ね上がった白髪と大きく前の開いた隊服。そこから見える傷だらけの身体、『殺』という一文字を背負う羽織、そして眼光の鋭い眼。威圧的なその見た目に、彼に対して「怖そうなキャラ」という印象を抱いた人もきっと多いはず。

さらにそのルックスに違わず、彼自身も非常に攻撃的な性格であることが垣間見えます。
柱号会議では当初お館様の意向に沿わず、ほぼ独断とも言える行動で、人を食わない鬼である禰豆子を傷つけた彼。
問答無用のその所業に、彼への恐怖をますます強くした視聴者も大勢いたことでしょう。

そんなふうに、『鬼滅の刃』をアニメで楽しんでいる人々からは、かなり近づきがたい印象を持たれている実弥。ですが実は『鬼滅の刃』の原作を読んでいる人からの評価は一転。個性的な柱の面々の中でも、彼はかなり高い支持を得ている人気キャラでもあるのです。

一見非常に怖く、横暴なキャラのようにも見える実弥。

大勢の人を惹きつけるその最たる魅力は、最初の印象とは180度異なる彼の大きすぎるギャップにありました。

鬼気迫る意志…その背景にある愛する家族への想い

不死川実弥が鬼殺隊という組織に入った理由。それは最愛の家族を鬼に殺されたから、というこの物語ではある意味ごくありふれた動機ともなっています。

ですが、彼が鬼を狩ることで果たしたいのは単純な「家族の敵討ち」のみではありません。実は彼には、鬼の襲撃から生き延びたたった一人の肉親となる弟がいます。

鬼の被害にあってなお唯一生き残った弟。彼がもう二度と鬼の被害に遭う事がないように。鬼とは無縁の世界で、あの恐怖に脅かされず幸せに生きていけるように。
「唯一生き残った弟の幸せな暮らしを守る」。それもまた、彼が鬼を狩ることで果たしたい願いのひとつでもあるのです。

彼には生き残った弟を始め6人の弟妹がいました。大家族の長男として育ち、下の子たちや兄弟を女手ひとつで育ててくれる母親の助けになりたいと実弥は責任感の強い人間に育ちます。ですがある日の夜、母が不在にしていた家が鬼に襲撃されてしまいます。

弟妹達は弟一人を残して全員殺される中、単身その鬼に立ち向かう実弥。ですが夜が明けて息絶えた鬼を見ればなんと、それは何者かによって鬼にされた実の母親でした。

弟妹を殺した母を憎むこともできず、あまつさえその母を自分の手で殺すしかなかった。
家族を喪った彼が抱える無念や恨み、怒りの矛先は鬼全体へ向けるほかありません。それを知れば実弥がどんな鬼であろうと絶対に許さず、鬼殺に大きな執念を抱くことも無理はないように思えます。

あわせて、抵抗する術もなく殺されていった弟妹たちを自分は守る事すらできなかった。
だからこそ唯一残った弟だけは絶対に失いたくない。彼だけは、そして彼の幸せな生活だけは何人たりとも邪魔をさせない。まるで大切な弟妹を守れなかった罪滅ぼしをするかのように、彼は唯一生き残った弟へ鬼殺という使命を介して、彼自身の大きな愛情を今もなお傾け続けているのです。

原作者曰く「『泣いた赤鬼』を地で行く人」

家族の仇のためなら、そして何よりも大事な弟の幸せな暮らしのためならば自分がいくら鬼狩りの中で傷つこうと苦しもうと構わない。

そんな実弥もまた鬼殺隊の中に共通する「滅私の精神」を上記のような形で貫く人物のひとりでもありますね。

彼のことを原作者である吾峠呼世晴先生は『鬼滅の刃 公式ファンブック鬼殺隊見聞録・弐』(集英社)にて、「『泣いた赤鬼』を地で行く人」だと評しています。

大事な人を守るためなら自分が死んでも、傷ついても、嫌われても、悪者になって追放されてもかまわない。
彼の表面的な荒々しさの奥には、そんな極端すぎる滅私の精神や大切な人に対する愛情深さが隠れているのです。

鬼への殺意以上に、唯一生き残った弟を命を賭してでも守り抜きたい。
他人を寄せ付けない厳しさや恐ろしさの裏に隠れた、彼の切実な願い。そんな実弥の知られざる一面に触れ、彼のことが一気に大好きになってしまった、という人が原作の読者には大勢いたようです。

今後アニメの展開でも物語が進む中で、当然そんな彼の一面に触れる機会が必ず出てくるはず。
彼の厳しさ・恐ろしさの裏にある、大きな優しさと愛情のギャップを大勢のファンが知ることで。実弥は今後、さらに人気が上がる事間違いなしのキャラクターとも言えるかもしれませんね。

(執筆:曽我美なつめ)

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不死川実弥プロフィール

不死川実弥(しなずがわ・さねみ)
CV:関智一
年齢:21歳
身長:179cm
趣味:カブト虫を育てる事
好物:おはぎ鬼殺隊の主軸となる”柱”のひとり。風柱。
(公式サイトより引用)

TVアニメ『鬼滅の刃』刀鍛冶の里編

テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編 第1弾PV

via

【スタッフ】
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン:松島晃
アニメーション制作:ufotable

【キャスト】
竈門炭治郎:花江夏樹
竈門禰豆子: 鬼頭明里
我妻善逸:下野紘
嘴平伊之助:松岡禎丞
時透無一郎:河西健吾
甘露寺蜜璃:花澤香菜
※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記となります。

「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編 テレビアニメ化決定 PV

via

©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

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