オオサンショウウオ 日本の在来種を守れ 広島大学に研究センター設立

国の特別天然記念物「オオサンショウウオ」…。日本古来からの在来種を守ろうと、広島大学に研究センターが設立されました。

オオサンショウウオ保全対策プロジェクト研究センター 清水則雄 センター長
「去年、準絶滅危惧種から一段上の絶滅危惧種にワンランク上がってしまいました」

研究センターのトップには、広島大学 総合博物館の 清水則雄 准教授が就任しました。

オオサンショウウオは、世界最大級の両生類で「生きた化石」と呼ばれ、1952年に国の特別天然記念物に指定されました。

中国山地を中心に生息していますが、去年4月には原爆ドーム前を流れる元安川で、通りがかった人が偶然見つけ、近くの本川で保護されました。

その後、死んでしまいましたが、このときも大きな話題となったオオサンショウウオ…。豪雨災害やえん堤の設置でその数は減ってきています。

そして、去年7月、広島市の八幡川で、日本古来からの在来種と中国からの外来種が交配した「交雑種」が、県内で初めて見つかりました。

その後の調査で、八幡川で確認した40頭のうち、8割以上にあたる33頭は交雑種と判明しました。

中国からの外来種は、1972年に食用として持ち込まれ、その後、野生化したとみられています。清水センター長は、こう危機感をあらわにします。

清水則雄 センター長
「人の手で持ち込まれ、たった数十年の間に何千万年もかけて形作られてきた現在の生態系が一瞬で壊れてしまう」

中国の外来種は大型化する傾向があり、繁殖能力も高いため、交雑が進むと日本の在来種が絶滅する恐れがあるといいます。

清水則雄 センター長
「100年以内に日本のオオサンショウウオは消滅してしまうのではないか。それを守れるのは市民1人ひとり。われわれは手助けするが、どういう環境を次の世代に残していきたいか、われわれが知って、われわれが選ぶべき」

研究センターには、DNA鑑定の専門家も在籍し、八幡川の実態調査だけでなく、全国的な調査研究を進めたいとしています。

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