ようじ1万本使い、首里城を「復元」 「アートで地域盛り上げたい」 東京・水野さん夫婦

 【東京】東京都八王子市上川町の水野文男さん(71)が、小さな木材とも呼ばれるようじで首里城を作った。「いち早く首里城を復元したかった」と語る。要した期間は約3カ月。ようじアートでよみがえった首里城の展示室を自宅に設置した。展示を通じて沖縄の風を吹き込み、訪れる市民や地域住民へ文化の薫りを届けている。

 作品は横幅約1メートル、高さ50センチで、ようじ約1万本を使ったという。製作にあたっては首里城の写真を参考に構想を練った。水野さんは当初「城正面の装飾が精巧に作られていて表現に苦労するかな」と挫折しかけたという。そこで製作には「最も難航するとみられた城正面の装飾部分から取りかかり、手応えを得られたため本格的な創作に拍車がかかった」と話す。

 建物として現出した首里城の絵付けは妻の光代さんが担当し、色鮮やかな城を復活させた。

 ようじアートで50年を超えるキャリアを持つ水野さんは、これまで200作品以上を製作してきた。展示室には金閣寺や東京タワー、三重の塔など国内のシンボル的な建造物がずらり。散策を楽しむ人の目につく場所に展示し憩いの場としても定着している。

 都内とはいえ、上川町は高齢者の割合が増えている地域。「みんなで考える上川まちづくり構想」と題して、活性化に向けた取り組みが町を挙げて始まっている。地域内外の人を呼び込むため上川みらいマップも出来上がったばかり。マップには水野さんの営む「ようじアート館」も記載された。「ようじアートを通じて人々が交流し憩える場になれば」と話し、活気に満ちた地域づくりに期待を込める。

 (斎藤学)

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