「アシストしたい役割は?」 広島カープ 新井貴浩監督の参謀役 藤井彰人ヘッドコーチに迫る

開幕から1か月、広島カープは連敗もあれば連勝もあり、しかし、チームの戦いは全くぶれることがありません。そこには、新井貴浩 監督のチーム運営を支える 藤井彰人 ヘッドコーチの存在がありました。監督が絶大な信頼を寄せる参謀役を取材しました。

広島カープ 藤井彰人 ヘッドコーチ
― 就任の決め手は?
「本当に決めたときは、監督を胴上げしに行こうと思って来ましたし。まあ、どういうことっていうか、具体的なことを考えるよりも本当に新井監督を男にしよう。そのために手伝わせてもらおうと思っただけなので。家族に相談したら『すぐ行ってきなさい』と」

タイガース時代、新井監督とともに4年間プレーした 藤井彰人 ヘッドコーチ。同学年の2人は、チームのことをともに語り合う中で野球観を共有してきました。

藤井彰人 ヘッドコーチ
「タイガースで4年、一緒に現役をやらせてもらって、食事する機会も多かったですし、そういうとき、野球の話。『こうやったほうが、うまくでそうなのにな』とか本当にたわいもない話です。この問題を解決しようなんて別にしゃべったわけじゃないですけど。いろんな野球の話、『こうやったら、このピッチャーよくなると思わへん?』『 こういう環境をつくってあげたほうが野手・若い子がのびのびできると思やへん?』そういう話ですかね」

チームのことを語り合う中で2人は信頼を寄せあうようになりました。藤井ヘッドは、新井監督に絶大なリスペクトを抱きます。

藤井彰人 ヘッドコーチ
― 新井監督のすごいなと思うところ、ほれこむ部分とは?
「人の気持ちをわかってあげられるというか…。どういう思いで選手がプレーしたのか、今の心境だとか、そういうのがすごく。『こう、すんな』とかじゃなくって、それもわかって発言して、選手をその気にさせるのがうまいなと思いますね」

開幕3連戦、新生「新井カープ」は、積極的に動きます。ミスを恐れず、1つでも先の塁へ―。3連敗を喫しても、走塁でアウトになっても、前を向く姿勢は1ミリもずれません。

藤井彰人 ヘッドコーチ
「開幕3連戦、負けたことになりますが、本当にこう、打者であっても1球見逃す姿勢とか、打ってから走る姿勢だとか、そういうのはよく映りましたし、なんとか、いっちょ、やったろうって」

「2月1日に 西川龍馬 がみんなの前で『いっちょ、やったろうや』って言ったんですけど、そういう気持ちがぼくにも伝わりましたし。いっちょ、やってくれんじゃないかっていうのがありましたね」

― 積極的に仕掛けるエンドランについて? キャッチャーの経験も大きい?
「エンドランが強気とか、積極性とかあんまり思わないんですよ。バントも積極的というか、打って取る作戦でもありますし。うーん、初めからから、ぼくもそうですけど、送りバントで1個アウトしてくれたら、少しほっとするんですよね。特に立ち上がり。エース対決で1点勝負やというときは、もちろん、それもあるかも知れないですけど、状況を見てですよね。ピッチャーの立ち上がりはすごく緊張もありますし、1個、ふつうにアウトをくれたら楽やったなという経験もあるので。今、2番の 野間峻祥 ががんばってくれているんですけど、なんとか当ててというのが得意な子なので、今のヒッティングっていうのもある」

感情を爆発させながら選手の背中を押す、新井監督。一方で、指揮官がその「視野の広さ」に全幅の信頼を寄せる藤井ヘッド。もちろん、その役割は心得ています。

藤井彰人 ヘッドコーチ
― 監督をアシストしたい役割は?
「感情も入って、一緒に現役をやった選手も何人か、監督は多いじゃないですか。その中で決断するときにやっぱり “情” が入ってしまうときもあると思うんですよね。そういった部分で、ぼくは違うじゃないですか。違う目線でこういう決断もしないと、チームがおかしくなってくるよみたいなのは言いましたけど。けっこう考えていることは合うので、あんまり違ったことはないですね」

“キャッチャー出身の視点” 、“生え抜きではないゆえの視点” 。拳を突き上げる新井監督のすぐ横で百戦錬磨の「眼」が光ります。

藤井彰人 ヘッドコーチ
「ファンの人に喜んでもらえるというか、やっぱり勝ったら、このマツダ(スタジアム)ですごい雰囲気をぼくも味わせてもらったので。この間のサヨナラとかそうですし。喜んでもらうのが一番ですし、ぼくらはぼくらで選手とコーチとスタッフ全員で喜べるシーズンにしたいなと思います」

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