【茂木】益子町にアトリエを置く洋画家酒井淳(さかいじゅん)さん(86)=宇都宮市今泉新町=による「酒井淳仏画展」が2日、ふみの森もてぎで開幕した。建築士の顔を持ちながら宇都宮市で個展を長年継続開催してきた酒井さん。町内の寺院の住職の勧めで、新型コロナウイルス禍による休止や高齢を乗り越え、新作を加えて作品を披露している。7日まで。
益子ロータリークラブ会員で飯(いい)の慶翁寺住職都野祐俊(つのゆうしゅん)さん(75)が、同クラブで10年来の親交がある酒井さんの仏画にほれ、「ぜひ茂木で」と開催を働きかけた。都野さん主宰の文化活動「慶翁寺文化村塾」主催の形で初めて町内で展示が実現した。
3号から120号の大作まで、ここ20年余りの間に描いた仏画のほか、今春まで約1年かけて五重塔を描いた新作「『雅』日光東照宮」まで23点を集めた。個展は4年ぶりとなった。
酒井さんは62歳で心臓病を発症し死のふちをのぞいて以降、毎年1点は仏画を描いてきた。新型コロナ感染拡大前まで宇都宮市の県総合文化センターで23回の個展を開催してきた。
3年のブランクで体調不安が募り、気力の衰えも自覚していたが、「地域の文化活動に貢献する都野さんの誘いなら」と応えた。初日は午前中だけで、宇都宮市などからも含め50人余りが足を運んだ。
酒井さんが「身も心も清めて描く」と心血注いで描く仏を「どこか人間臭い」と評するファンもいる。都野さんは「仏画を通して酒井さん自身の内面に触れることができる」と話した。
酒井さんは「やると決めたら元気になった。充実感があり、お誘いを受けてよかった」と、穏やかな笑顔を浮かべた。