金沢・内川タケノコ記録的不作 4日の「まつり」人気の天ぷら中止

タケノコを収穫する農家=金沢市別所町

  ●「早期売り切れ」回避へ苦肉の策

 石川県のタケノコ主要産地・金沢市内川地区が今年、記録的な不作に見舞われている。収穫量の少ない「裏年」に当たる上、3月の高温で2週間ほど早く成長したことが影響した。4日の「第35回内川たけのこまつり」に用意するタケノコが過去最少となるのが確実となった。短時間での売り切れを回避するため、主催者側は人気の天ぷらなど一部の提供を取りやめる苦肉の策を講じる。

 「たけのこまつりに関わるようになって30年以上たつけれど、こんなに少ない年は初めてや」。まつりの実行委員を務める内川公民館長の元尾文二さん(68)はため息をつく。農家の髙野勝志さん(33)は「裏の裏くらい少ない。掘りたくても掘るものがない。ばあちゃんも40、50年で初めてやって言っとった」と声を落とした。

  ●採れ立て過去最少確実、裏年に加え3月高温

 通常、裏年のまつりでは採れ立ての生タケノコが300~400キロほど並び、過去には午前中に完売する年もあった。だが、今年は200キロに届くかどうかだという。裏年は表年と違い、安く買おうとする客が早く集まる傾向にあり、早々に売り切れると不安視する声も多い。

 この状況を受け、まつりの実行委員会は初めて、一番人気のタケノコの天ぷら、煮物の提供を中止することにした。タケノコご飯は例年と同じ量を用意したい考えだが、当日の客入りによっては、1人当たりの販売量を制限する可能性もあるという。

 今年は早くもタケノコ出荷が終わりに近づいており、各農家の竹やぶにはそれを象徴する異変が生じている。細身のタケノコが地面からにょきっと生える現象で、内川では「ピッピッ」と呼ばれており、これを食べる人はいないという。

 内川では2021年、タケノコ料理専門店2店が閉店し、かつて15店ほどあった専門店が全て消えた。高齢化に伴って竹を世話する人は減り、まつりに参加する農家も段々と少なくなっている。

 元尾さんは「厳選した本場のタケノコを味わってほしいが、正直かなり難しい。産地の名前に影響しないか心配だ」と話した。

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