小林利徠斗が他を圧倒。TGR-DC RS勢が表彰台を独占【正式結果/2023FIA-F4選手権 第1戦富士 決勝】

 5月3日、2023年シーズンFIA-F4選手権開幕戦となる第1戦の決勝レースが富士スピードウェイで行われ、小林利徠斗(TGR-DC RS トムススピリット F4)がポール・トゥ・ウインでFIA-F4通算2勝目を飾った。

 2015年の開催初年度より童夢製シャシー『童夢F110』、そしてトムス製1987cc直列4気筒自然吸気エンジン『TZR42』が使用されてきたFIA-F4選手権。2024年シーズンより東レ・カーボンマジックが開発した『MCS4-24』とトムスの新エンジン『TMA43』による次世代マシンが投入されることから、今季は現行パッケージのラストイヤーとなる。

 そんな2023年シーズンの第1戦・第2戦が開催される開幕富士大会には、過去最多台数となる46台がエントリー。今大会の決勝出走最大数は45台のため、シリーズ始まって以来の予選落ちが発生する一戦となった。第1戦のグリッドはベストタイム順、第2戦のグリッドはセカンドベストタイム順で決するなか、2戦とも小林利徠斗がポールポジション、そして三井優介(HFDP RACING TEAM)がフロントロウ2番グリッドを獲得。

 セカンドロウ3番グリッドに佐藤樹(HELM MOTORSPORTS F110)、4番グリッドに中村仁(TGR-DC RS トムススピリット F4)が続いた。なお、第1戦のインディペンデントカップ最上位グリッドは27番手、64歳の仲尾恵史(TCS AKILAND F110)となった。

 大型連休を迎え、大勢の観客が富士スピードウェイを訪れるなか、14周の第1戦決勝レースは青空のもとスタートを迎えた。小林がホールショットを守る一方、TGRコーナーで2番手三井と4番手中村が接触。2台はここでレースを終えることに。これで2番手に佐藤、3番手には昨年フランスFIA-F4に参戦した野村勇斗(HFDP RACING TEAM)、そして4番手に奥本隼士(TGR-DC RS フィールド F4)が浮上する。

2023FIA-F4選手権第1戦富士 決勝レーススタート

 そんななか、オープニングラップのダンロップコーナー立ち上がりで中団の4台が絡むアクシデントが発生し、レース開始早々にセーフティカー(SC)が導入され、レースは4周目に再開されることに。

 リスタート早々、TGRコーナーで2番手佐藤に仕掛けた3番手野村が接触しコースオフ。野村は一旦コース復帰を果たすが、車両にダメージがあったか、その後ピットインし戦列を離れた。

 これで小林が大量リードを築いてレースを支配する一方、2番手佐藤の背後に、3番手の奥本が接近。さらに、4番手の大宮賢人(PONOS F110)の背後には5番手の森山冬星(HFDP RACING TEAM)が接近と、2番手以降は接近戦が続く。

 7周目のダンロップコーナーで大宮が奥本のインに飛び込み、表彰台圏内に浮上。ただ、奥本も大宮の0.283秒背後につけ、再浮上の機会を伺う。そんななか2番手佐藤の表彰台獲得は安泰かと思われたなか、佐藤に対しドライビングスルーペナルティが課せられることに。

 10周目、TGRコーナーで森山が奥本を攻略し3番手に浮上。森山はレース後半のペースが良く、さらに2番手の大宮を攻め立てる展開に。森山は12周目のTGRコーナーで大宮をかわし2番手に浮上する。その背後では4番手奥本に佐野雄城(TGR-DC RS フィールド F4)が接近する。

 ファイナルラップの14周目、TGRコーナーで大宮と奥本があわや接触かという激しい交錯を見せる。ただその間に佐野が3番手に浮上、4番手大宮、5番手奥本というオーダーに。しかし、ダンロップコーナーで今度は大宮が佐野に仕掛ける。さらに隙をついて奥本もポジションアップを果たし、3番手大宮、4番手奥本というオーダーに。

 14周目を終え、ポールスタートからライバルを12秒近く引き離した小林利徠斗がポール・トゥ・ウインで2023年シーズンの初戦を制し、FIA-F4通算2勝目を飾った。続いて森山がチェッカーを受けたが、森山は走路外追い越し違反により、競技結果に対し10秒加算のペナルティを課せられ9位に後退。3番手でチェッカーを受けた奥本が2位、そして佐野が3位となり、TGR-DC Racing School勢が表彰台を独占することとなった。一方、インディペンデントカップは総合16位に入った鳥羽豊(HELM MOTORSPORTS F110)が制している。

■2023FIA-F4 第1戦富士 決勝正式結果

Pos. No. Ind. Driver Car Lap Time/Gap

1 36

小林利徠斗 TGR-DC RS トムススピリット F4 14 27’22.217

2 38

奥本隼士 TGR-DC RS フィールド F4 14 11.813

3 37

佐野雄城 TGR-DC RS フィールド F4 14 12.230

4 16

⻄村和真 Media Do YBS 影山 F110 14 12.811

5 98

三島優輝 BJ Racing F110 14 13.377

6 12

洞地遼大 HIROTEX AKILAND F110 14 16.059

7 87

下野璃央 Dr.Dry F110 14 16.219

8 77

小松響 WARMTECH Skill Speed 14 17 491

9 7

森山冬星 HFDP RACING TEAM 14 18.169

10 22

藤原優汰 藤原オート AKILAND F110 14 18.760

11 15

渡部智仁 Media Do YBS 影山 F110 14 19.748

12 14

田上蒼⻯ ガレージENZO ZAP F110 14 20.303

13 18

大島和也 AKILAND RACING F110 14 20.448

14 28

中村賢明 トムス フォーミュラカレッジ F110 14 20.763

15 45

大宮賢人 PONOS F110 14 21.846

16 63 ○ 鳥羽豊 HELM MOTORSPORTS F110 14 25.091

17 2 ○ 仲尾恵史 TCS AKILAND F110 14 27.398

18 48

堀尾風允 MOST-HM Racing F4 14 33.992

19 80

野澤勇翔 OTG DL F4CHALLENGE 14 34.504

20 81

卜部和久 BJ Racing F110 14 36.949

21 44 ○ 今田信宏 JMS RACING with B-MAX 14 39.938

22 13 ○ 藤原誠 B-MAX ENGINEERING 14 42.922

23 30 ○ DRAGON B-MAX TEAM DRAGON 14 42.932

24 26 ○ 山崎令二郎 Media Do 影山 F110 14 43.494

25 99 ○ 近藤善嗣 アドバンスドIoTくじらルーニースポーツ 14 44.920

26 96 ○ 齋藤真紀雄 CSマーケティングAKILANDF110 14 45.759

27 78

小野陽平 Reversal Spirit 14 47.448

28 62

佐藤樹 HELM MOTORSPORTS F110 14 48.311

29 86 ○ 大阪八郎 Dr.Dry F110 14 48.827

30 21 ○ 小嶋禎一 Classic Car.jp Eagle 14 49.170

31 55 ○ KENTARO Baum Field F4 14 52.493

32 71 ○ 大山正芳 ダイワ N通商 AKILAND F110 14 53.295

33 8

半田昌宗 SD-STYLE GMB F110 14 56.006

34 88

荒川麟 Dr.Dry F110 14 58.120

35 11 ○ 中島功 Rn.SHINSEI.F110 14 59.181

36 49 ○ 大川文誠 私立うらめし学園withイーグルスポーツ 14 59.665

37 41 ○ ⻘合正博 Racing TEAM HERO’S 14 1’00.376

38 10 ○ 植田正幸 アキランド with Rn-sports 14 1’24.995

– 6

野村勇斗 HFDP RACING TEAM 5 9Laps

– 5

三井優介 HFDP RACING TEAM 0

– 35

中村仁 TGR-DC RS トムススピリット F4 0

– 34

清水啓伸 Drago CORSE F110 0

– 31

平安山良馬 ATEAM Buzz Racing 0

– 97

辻本始温 BJ Racing F110 0

– 46

徳升広平 フジタ薬局アポロ電工M.T 0

天候:晴れ 路面:ドライ
・ファステストラップ
1分45秒620(8/14)155.527km/h #88 荒川麟/Dr.Dry F110
INDP 1分47秒078(13/14)153.410km/h #63 鳥羽豊/HELM MOTORSPORTS F110
スタート時刻:14時15分15秒 フィニッシュ時刻:14時42分37秒217
エントリー:46台/スタート:45台/フィニッシュ:38台
SC導入時刻:14時16分(0Lap)~14時22分(3Laps)
*CarNo.88 荒川麟(Dr.Dry F110)は、反則スタート(リスタート時)により、競技結果に対し40秒加算のペナルティを課す。
*CarNo.7 森山冬星(HFDP RACING TEAM)は、シリーズ規則第19条2.(走路外追い越し違反により、競技結果に対し10秒加算のペナルティを課す。
*CarNo.45 大宮賢人(PONOS F110)は、シリーズ規則第19条4.(他車を走路外へ追い出し)違反により、競技結果に対し10秒加算のペナルテイを認す。
*CarNo.62 佐藤樹(HELM MOTORSPORTS F110)は、シリーズ規則第15条1.1)2)(他車への衝突行為+コースアウト)違反により、ドライブスルーペナルティを課す。
*CarNo.10 植田正幸(アキランド with Rn-sports)は、反則スタート(リスタート時)により、競技結果に対し1秒加算のペナルティを課す。
*CarNo.35 中村仁(TGR-DC RS トムススピリット F4)は、シリーズ規則第15条1.1)2(他車への香行為+コースアウト)違反により、競技結果に対し40秒加算のペナルティを課す。

2023FIA-F4選手権第1戦富士 決勝スタート前の三井優介と阿部正和監督(HFDP RACING TEAM)
2023FIA-F4選手権第1戦富士 スタート直後の1コーナーで接触によりマシンストップとなった三井優介(HFDP RACING TEAM)
2023FIA-F4選手権第1戦富士 4周目に接触してしまった佐藤樹(HELM MOTORSPORTS F110)と野村勇斗(HFDP RACING TEAM)
2023FIA-F4選手権第1戦富士 2位の奥本隼士(TGR-DC RS フィールド F4)と優勝の小林利徠斗(TGR-DC RS トムススピリット F4)
2023FIA-F4選手権第1戦富士の表彰式
2023FIA-F4選手権第1戦富士 インディペンデントカップの表彰式

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