幼稚園の先生 有色人種の清掃員への注意を園児にさせる 「ソフト/クワイエット」 不穏な冒頭映像

2023年5月19日より劇場公開される、全編をワンショットのリアルタイムで描くスリラー「ソフト/クワイエット」から、冒頭2分の本編映像が公開された。

映像は、閑静な田舎町にある幼稚園で、園児が親の迎えを一人で待つシーンから始まる。そこへ、すらりとした長身で金髪ロングヘアの白人の先生が現れ、一緒に親を待つことになる。先生は、これから行われる会合で友達にサプライズで持っていくパイを生徒に見せたり、初めて作ったという絵本を読ませてあげるなど、和やかな風景が映し出される。

そこへモップ掛けをしようとする有色人種の清掃員が現れ、校舎に入っていったことから雰囲気は一変する。先生は園児に、「あぶないから、生徒が帰るまでモップ掛けはするな」と、園児から清掃員に対して注意をするように促す。「男の子なんだから勇気を出して、自分を守るために闘うの」と続ける先生。なぜ先生自ら注意をしにいかないのか、戸惑いを隠せない園児の表情が映し出される。不気味に近づくカメラワークや、不自然に音の大きい清掃道具を運ぶ車輪の音などが重なり、不穏な冒頭シーンとなっている。

「ソフト/クワイエット」は、アメリカで社会問題化しているヘイトクライム(憎悪犯罪)の狂気をえぐり出した作品。とある郊外の幼稚園に勤める教師エミリーが、白人至上主義のグループを結成する。第1回の会合に集まったのは、主催者のエミリーを含む6人の女性。多文化主義や多様性が重んじられる現代の風潮に反感を抱き、有色人種や移民を毛嫌いする6人は、大いに盛り上がる。やがて彼女たちはエミリーの自宅で二次会を行うことに。だが、立ち寄った食料品店でアジア系姉妹との激しい口論が勃発。腹の虫が治まらないエミリーらは、いたずら半分で姉妹の家を荒らすことを計画する。

92分の全編をワンショットで映像化し、閑静な町のごく平凡な日常が地獄絵図へと変貌していく過程をリアルタイム進行で描き出したのは、長編デビューを飾った女性監督のベス・デ・アラウージョ。主人公エミリーの自尊心の高さと精神的なもろさを演じきったステファニー・エステスを始め、キャストはほぼ無名の俳優たちが務めている。

【作品情報】
ソフト/クワイエット
2023年5月19日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
配給:アルバトロス・フィルム
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