【コラム】ターゲットとコンセプト変更の時(WEB版)/チャーリー・ロドリゲス・湯谷

1. 寡占化が進むパチンコ業界の未来
業界団体の調べではパチンコ店も7,000店舗を下回り、市場縮小が止まりません。特に設置台数300台以下の中小ホールは、休業・廃業・閉店・倒産というケースが増えているようです。一方、資本力のある大手ホール企業は、新規出店と同時に企業買収にも積極的で、その出店スピードもここ最近、早くなっています。数字以上に店舗の大型化・寡占化は進み、競合他店はもう追いつけない程の格差がついている、そんな地域も増加傾向のようです。

市場縮小の原因は景況感の低迷の他、超高齢化社会の到来や生活スタイルの変化・余暇の多様化等が挙げられ、また、ギャンブル業の競合である他の公営ギャンブルにも「顧客争奪」という点においては、後塵を拝しているのは周知の事実です。本来、業界全体でイノベーションが必要ですが法規制問題もあり、シンプルに「時代遅れ」な娯楽になっている、と言わざるを得ませんし、寡占が進む事で現在よりもシェア至上主義が進み、さらに「投資合戦」が過熱していくことでしょう。業界の未来像は、現在の「家電業界」に近い方向に進むと予測するところです。

2. 激化する「投資競争」に飲み込まれるか?業容を変えるか?
現段階では、パチンコ業界の市場縮小は不可避であり、事業継続・成長を目指すならば、どうしてもギャンブル依存が高く、参加頻度・遊技金額の多いヘビーユーザー依存になるのは仕方ないでしょう。もちろん、新台入替や薄利多売営業の継続は最低条件で、ある程度、資金余裕のある法人が有利になるのは当然です。この激しい投資競争の土俵でどうやって戦っていくか?又はターゲットを変更し、店舗の業容を変えて運営していくべきか?判断するタイミングに来ていると考えます。

例えば、店舗コンセプトの変更・ターゲット変更により、今後の運営方針や投資戦略…入替や出玉面等の営業戦略も大きく変更していく事になりますし、当然、事業収支面においても見直しが必要になると思います。 競争の激しいヘビーユーザーをメインターゲットにするのも、それ以外のユーザーにターゲット変更するのも、どちらもメリット・デメリットがあるので、戦略的に十分検討が必要です。とにかく数年先の市場を見据えて、過不足の無い施策を打つべきと考えます。

3. お客様をよく知る事から始めるべき
これだけ社会の多様性が進み、生活・余暇の過ごし方も変化している現在、いかに自店の地域やターゲットとするお客様のニーズを知り、タイムリーに手を打っていけるか?が、勝負になると考えます。お客様に、一度でも「自分にメリットの無いお店に行っても意味がない」と捉えられてしまえば、二度と来店されることのない無関心ユーザーとなりますし、常にお客様のニーズに応え価値提供を継続しなければ、すぐにお客様から見限られます。再び来店頂く為には、かなりのコストと時間がかかります。

日々「現在のお客様を失わない」ように、営業に注力すると同時に、お客様の生活背景や遊技スタイルをアップ・デート(書き換え)する必要があります。そういった施策をより有効なものにするために、ターゲットを絞り、お客様の事をよく知る術を持つ事が重要です。まず、戦略を再考するにあたり、地域の、自店のお客様の動向・行動パターン等をしっかり把握してもらいたいところです。

4. ニーズ把握とシーズ確認
「お客様は、一体、自店に何を望んでいるのか?」といったニーズ把握は常に行う必要があります。それは、ただ「玉を出せ」や「新台入替しろ」という一般的なニーズ把握だけでなく、遊技環境や店内雰囲気や他店比較など、様々な方法で情報収集すべきです。

また、同時に潜在化しているニーズ…つまりニーズの種となるシーズの把握も行うべきで、様々なコミュニケーションの取り方と、遊技データと観察から仮説を作り、検証するサイクルを現場で続けるべきです。既に「No.1企業」を目指す時代は終わり、「オンリーワン企業」を目指しつつ、時代とともに「変化・適応」する事が重要です。変化し続けるには「考える事を止めない人材」が必要で、ソフト力の強化も大きな課題の一つです。しっかり優先順位を決めて取り組み、自店の進む道を定めて、力を重点化し向かって欲しいと思いますね。

■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ!」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず!

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