カットラインは大会記録の“+9” コースセッティング担当・茂木宏美の思い

高難度のコースセッティングを示すリーダーボード(撮影/塚田達也)

◇国内女子メジャー◇ワールドレディスサロンパスカップ 2日目(5日)◇茨城GC西コース◇6780yd(パー72)

予選ラウンドを終えて、アンダーパーは通算4アンダーで首位に立つ吉田優利ただ一人。硬く、締められたメジャー仕様のグリーンコンディションに加え、初日は端々に切られたピンポジション、2日目は最大瞬間風速13.9m/sの強風によりハイスコアの展開が続いた。吉田を含め、イーブンパー以下はわずか3人という緊迫した展開で週末を迎える。

ハードセッティングの影響は予選通過の争いにも波及。予選カットライン通算9オーバーは、本大会が公式戦に昇格した2008年以降の予選カット最多スコア記録を1ストローク更新した。

対して、19年からの直近3試合(20年はコロナ禍で中止)の優勝スコアはいずれも2桁アンダーを記録していた。今年と同じ西コース開催の昨年大会を通算12アンダーで制した山下美夢有は、初日に大会18ホール最少ストローク「64」を記録するなど、どちらかといえば伸ばし合う印象が残った。

苦しみながらもカットライン上の通算9オーバーで決勝に進んだ西郷真央(撮影/和田慎太郎)

2013年大会の優勝者でもあり、今大会のコースセッティングを担当した茂木宏美は「今回は、かなり難しいセッティングにはしています」と近年からの変化を認める。それは、日本人選手に「世界で活躍してほしい」との願いがこめられたものだった。

「今年の『全米女子オープン』(7月6日開幕)はペブルビーチGL(カリフォルニア州)で開催されます。私は1度回ったことがあり、その時は雨と風がすごいこともあって、難しさにすごく衝撃を受けました。2カ月後に選手が出ていくときに、“この舞台を戦い抜いたから私はやれるんだ”と自信の一つにもなって欲しいなという想いがあります」という。

予選カットラインが大会記録を更新したことについては「きょうの後半は風が予想以上に吹いてかなり難しくなったとは思います。午後になればなるほど乾燥してくるのでなかなかピンを狙っていけないですし、グリーンに乗せるのがやっとだったと思う」と述べ、想定ライン「7オーバー」を超える結果を受け止めた。

週末は引き続き、強風が予想される。日曜日は終日の雨予報も出ている。「まだ決勝ラウンド2日間あるので、頭の体力というタフさもメジャーならでは。選手には残り2日間、乗り越えていってもらいたいと思います」と期待を寄せる。観衆からすればエキサイティングなバーディ合戦も魅力たっぷりだが、過酷なコンディションでしのぎ合う展開もまた、卓越したプロの技が存分に楽しめるメジャーの醍醐味のひとつだ。(茨城県つくばみらい市/塚田達也)

<ワールドレディスサロンパスカップ Vスコアと優勝者>
2022年 12アンダー 山下美夢有/茨城GC西コース
2021年 14アンダー 西村優菜/茨城GC東コース
2019年 12アンダー 渋野日向子/茨城GC東コース
2018年 3アンダー 申ジエ/茨城GC西コース
2017年 9アンダー キム・ハヌル/茨城GC西コース
2016年 13アンダー レキシー・トンプソン/茨城GC東コース
2015年 12アンダー チョン・インジ/茨城GC西コース
2014年 9アンダー 成田美寿々/茨城GC西コース
2013年 9アンダー 茂木宏美/茨城GC西コース
2012年 8アンダー アン・ソンジュ/茨城GC西コース
2011年 10アンダー アン・ソンジュ/茨城GC西コース
2010年 9アンダー モーガン・プレッセル/茨城GC西コース
2009年 13アンダー 諸見里しのぶ/茨城GC西コース
2008年 4アンダー 福嶋晃子/東京よみうりCC
※国内メジャー昇格後

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