こうじを与えて育てた「麹ぶり」 佐伯市の県漁協上入津支店、商品化へ研究【大分県】

こうじを与えて育てた県漁協上入津支店の「麹ぶり」
「麹ぶり」の商品化に取り組む県漁協上入津支店職員や養殖業者ら=佐伯市蒲江畑野浦

 【佐伯】県漁協上入津支店(佐伯市蒲江畑野浦)は、こうじを与えて育てたブリの商品化に取り組んでいる。試食した漁業者らからは「身の色が変わりにくく、歯応えも良くなった」と好評で、「麹(こうじ)ぶり」と命名して商標も登録。地域独自のブランドとし、地元養殖業の起爆剤にしたい考えだ。

 県の養殖ブリ生産量は全国2位の約1万8千トン(2021年)。県が開発したブランド魚「かぼすブリ」の知名度は年々上昇し、大分を代表する産品の一つとなっているが、出荷量は年間514トン(同年度)で全体に占める割合は少ない。

 養殖ブリの消費拡大を図ろうと、上入津支店は21年6月から取り組みをスタートさせた。桃太郎海苔(のり)(大分市)が開発し、過去の実績でタイや伊勢エビの成長促進や死亡率減少の効果があった混合飼料「桃麹」に着目。毎食与えたところ、血合いの色を鮮やかに保ち、うまみ成分のドリップ(液体漏れ)を少なくすることに成功したという。

 麹ぶりはまだ改良途中で、4月上旬に初めて一部の飲食店で試験的に提供されたばかり。年内に佐伯市内のスーパーなどに並べることを目標に技術研究を進め、成果を組合員に広げていく方針だ。

 協力する養殖業者の高羽幸彦さん(64)=畑野浦=は「少しでも単価が上がり、漁業者の所得向上につながれば」と期待。小野崇樹支店長(55)は「上入津のおいしいブリに改めて目を向けてもらうきっかけになれば。県を代表するブランドに育てたい」と意気込んでいる。

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