2023年ル・マン24時間のエントリーリスト更新で62台/186名のラインアップ確定。新たな“日本人トリオ”も参戦へ

 ACOフランス西部自動車クラブは5月5日、6月10〜11日にフランスのサルト・サーキットで決勝レースを開催する2023年ル・マン24時間レースの暫定エントリーリストの更新版を発表した。これにより出場する62台をドライブする186名すべてのドライバーが明らかとなり、新たに“日本人トリオ”が結成されることも判明した。

 WEC世界耐久選手権の第4戦として開催される2023年のル・マン24時間レースは、第1回の開催から数えて100周年の記念大会となる。すでに参戦する各陣営がスペシャルカラーリングを発表しているほか、ウイナーには100周年を記念した特別デザインのトロフィーが用意、またレースウイーク中には100周年を記念した各種イベントも予定されており、例年にない盛り上がりを見せることが予想される。コラボレーションにより、特別枠から“改造版NASCAR”が出走することも、大きなトピックだ。

 また、最高峰クラス“ハイパーカー”では、昨年までのトヨタ、プジョー、グリッケンハウスに加え、新たにキャデラック、フェラーリ、ポルシェ、ヴァンウォールといったメーカーが2023年から新規参戦し、メーカー・台数ともに増加。ル・マンでは追加エントリーもあり、全16台で総合優勝を争うことになった。

ポルシェ963のル・マン24時間向けスペシャルリバリー

 そんな100周年記念大会のエントリーリストは2月27日に暫定版が発表されていたが、この度のアップデートにより、参戦する62台各車のそれぞれ3名のドライバーすべてが明らかとなった。また、リザーブリストにも変化が見られる。

 今年のハイパーカークラスは、ル・マンのトップカテゴリーとしては、LMP1クラスが17台のエントリーを達成した2011年に次ぐ参戦台数となる。

 WECのシーズンエントリー以外からは、ペンスキーが運営するファクトリーチームの3台目のポルシェ963、2台目のグリッケンハウス007、チップ・ガナッシ・レーシングとアクション・エクスプレス・レーシングのキャデラックVシリーズ.Rが追加でエントリーする。

 2台体制となるグリッケンハウス・レーシングでは、エステバン・グティエレスとナタニエル・ベルトンがラインアップに加わることになった。

 元F1ドライバーで、昨年はインターユーロポル・コンペティションのLMP2ドライバーだったグティエレスと、元レベリオン・レーシングのLMP1ドライバーだったベルトンのふたりは、グリッケンハウスでは初ドライブとなる。彼らはフランク・マイルーとともに709号車グリッケンハウス007をドライブする。

 グリッケンハウスのもう1台となる708号車は、WEC開幕戦のセブリング1000マイルでトリオを組んだ、ロマン・デュマ/オリビエ・プラ/ライアン・ブリスコーがシェアする。第3戦スパでは、デュマとプラに、マイルーが加わっていた。

 24台がエントリーするLMP2クラスのドライバーラインアップは、エントリーリスト公開の朝に発表されたベルギーのDKRエンジニアリングのトリオを含め、すべてそれぞれの陣営から事前に発表されていたものだ。

 21台から成るLMGTEアマクラスでは、ケッセル・レーシングの2台目のエントリーとなる74号車フェラーリ488 GTE Evoで、ケイ・コッツォリーノ/辻子依旦/横溝直輝という、オールジャパン・ラインアップが採用されることが判明した。当初のリストでは、この車両のドライバーとしてはデビッド・フマネッリが名を連ねていた。

 コッツォリーノは2019・2020年に、木村武史とともにル・マンに出場した経験があり、今年は小泉洋史とともにELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズに併催されるミシュラン・ル・マン・カップにエントリーしている。

 ポノス株式会社の代表取締役社長兼CEOを務める辻子はスーパー耐久や、2022年のGTワールドチャレンジ・アジア/ジャパンカップに参戦経験を持つジェントルマンドライバー。今季はスーパーGT・GT300クラスにエントリーするPONOS GAINER GT-Rの総監督も務めている。

 また、2012年のGT300王者・2013年のアジアン・ル・マン王者である横溝は、昨年GTワールドチャレンジ・アジアのGT3シルバードライバーズ・タイトルも獲得している。

 この他、日本勢としてはWECに通年参戦しているDステーション・レーシングの星野敏/藤井誠暢、ケッセル・レーシングの木村がエントリー。ハイパーカークラスに参戦するトヨタGAZOO Racingの小林可夢偉と平川亮を含め、日本籍チーム3台、日本人ドライバー8名が、100周年記念大会に挑むこととなった。

 なお、リザーブリストは、リシ・コンペティツィオーネとザ・ハート・オブ・レーシングがエントリーを取り下げたため、10台から8台へと減少している。

 ハート・オブ・レーシングは、ポール・ダラ・ラナがレース活動から撤退することになったため、ノースウエストAMRの98号車アストンマーティン・バンテージAMRを事実上引き継ぎ、メインイベントに出場することが決まっている。

■2023年WEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間レース 暫定エントリーリスト(5月5日付)

** No. WEC Class Team Car Driver Tyre

1 2 W HYPERCAR キャデラック・レーシング キャデラックVシリーズ.R E.バンバー
A.リン
R.ウエストブルック MI

2 3

HYPERCAR キャデラック・レーシング キャデラックVシリーズ.R S.ブルデー
R.バン・デル・ザンデ
S.ディクソン MI

3 4 W HYPERCAR フロイド・ヴァンウォール・
レーシングチーム ヴァンウォール・
バンダーベル680 T.ディルマン
E.グエリエリ
J.ビルヌーブ MI

4 5 W HYPERCAR ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ ポルシェ963 D.キャメロン
M.クリステンセン
F.マコウィッキ MI

5 6 W HYPERCAR ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ ポルシェ963 K.エストーレ
A.ロッテラー
L.ファントール MI

6 7 W HYPERCAR トヨタ・ガズー・レーシング トヨタGR010ハイブリッド M.コンウェイ
小林可夢偉
J-M.ロペス MI

7 8 W HYPERCAR トヨタ・ガズー・レーシング トヨタGR010ハイブリッド S.ブエミ
B.ハートレー
平川亮 MI

8 38 W HYPERCAR ハーツ・チームJOTA ポルシェ963 A.フェリックス・ダ・コスタ
W.スティーブンス
Y.イェ MI

9 50 W HYPERCAR フェラーリ・AFコルセ フェラーリ499P A.フォコ
M.モリーナ
N.ニールセン MI

10 51 W HYPERCAR フェラーリ・AFコルセ フェラーリ499P A.ピエール・グイディ
J.カラド
A.ジョビナッツィ MI

11 75

HYPERCAR ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ ポルシェ963 F.ナッセ
M.ジャミネ
N.タンディ MI

12 93 W HYPERCAR プジョー・トタルエナジーズ プジョー9X8 P.ディ・レスタ
M.イェンセン
J-E.ベルニュ MI

13 94 W HYPERCAR プジョー・トタルエナジーズ プジョー9X8 L.デュバル
G.メネゼス
N.ミューラー MI

14 311

HYPERCAR アクション・エクスプレス・レーシング キャデラックVシリーズ.R L.F.デラーニ
A.シムズ
J.エイトケン MI

15 708 W HYPERCAR グリッケンハウス・レーシング グリッケンハウス007 LMH R.デュマ
O.プラ
R.ブリスコー MI

16 709

HYPERCAR グリッケンハウス・レーシング グリッケンハウス007 LMH F.マイルー
N.ベルトン
E.グティエレス MI

17 9 W LMP2 プレマ・レーシング オレカ07・ギブソン B.フィスカール
J.M.コレア
F.ウグラン GY

18 10 W LMP2 ベクター・スポーツ オレカ07・ギブソン R.カレン
G.オーブリ
M.カイザー GY

19 13

LMP2
Pro/Am タワー・モータースポーツ オレカ07・ギブソン J.ファラノ
R.テイラー
R.ラスト GY

20 14

LMP2
Pro/Am ニールセン・レーシング オレカ07・ギブソン R.セールス
M.ベッシェ
B.ハンリー GY

21 22 W LMP2 ユナイテッド・オートスポーツUSA オレカ07・ギブソン P.ハンソン
F.アルバカーキ
F.ルビン GY

22 23 W LMP2 ユナイテッド・オートスポーツUSA オレカ07・ギブソン J.ピアソン
T.ブロンクビスト
O.ジャービス GY

23 28 W LMP2 JOTA オレカ07・ギブソン D.ハイネマイヤー-ハンソン
O.ラスムッセン
P.フィッティパルディ GY

24 30

LMP2 デュケイン・チーム オレカ07・ギブソン N.ジャニ
R.ビンダー
N.ピノ GY

25 31 W LMP2 チームWRT オレカ07・ギブソン S.ゲラエル
F.ハプスブルク
R.フラインス GY

26 32

LMP2 インターユーロポル・コンペティション オレカ07・ギブソン M.クワンメ
J.マグヌッセン
A.フィヨルドバッハ GY

27 34 W LMP2 インターユーロポル・コンペティション オレカ07・ギブソン J.スミエコウスキー
A.コスタ
F.シェーラー GY

28 35 W LMP2 アルピーヌ・エルフ・チーム オレカ07・ギブソン A.ネグラオ
O.カルドウェル
M.ロハス GY

29 36 W LMP2 アルピーヌ・エルフ・チーム オレカ07・ギブソン M.バキシビエール
C.ミレッシ
J.カナル GY

30 37

LMP2
Pro/Am クール・レーシング オレカ07・ギブソン N.ラピエール
A.コイニー
M.ヤコブセン GY

31 39

LMP2
Pro/Am グラフ・レーシング オレカ07・ギブソン F.エリオー
G.バン・デル・ガルデ
P.ピレ GY

32 41 W LMP2 チームWRT オレカ07・ギブソン R.アンドラーデ
L.デレトラズ
R.クビサ GY

33 43

LMP2
Pro/Am DKRエンジニアリング オレカ07・ギブソン T.バン・ロンプイ
U.デ・ウィルデ
M.マルタン GY

34 45

LMP2
Pro/Am アルガルベ・プロ・レーシング オレカ07・ギブソン G.カーツ
J.アレン
C.ブラウン GY

35 47

LMP2 クール・レーシング オレカ07・ギブソン R.デ・ゲルス
V.ロンコ
S.パジェノー GY

36 48

LMP2 IDECスポール オレカ07・ギブソン P.ラファーグ
P.L.シャタン
L.ホア GY

37 63 W LMP2 プレマ・レーシング オレカ07・ギブソン D.パン
D.クビアト
M.ボルトロッティ GY

38 65

LMP2 パニス・レーシング オレカ07・ギブソン M.マルドナド
T.バン・デル・ヘルム
J.バン・ウィタート GY

39 80

LMP2
Pro/Am AFコルセ オレカ07・ギブソン F.ペロード
B.バーニコート
N.ナト GY

40 923

LMP2
Pro/Am レーシングチーム・ターキー オレカ07・ギブソン S.ヨロック
T.ギャンブル
D.ファントール GY

41 16

LMGTE Am プロトン・コンペティション ポルシェ911 RSR-19 R.ハードウィック
Z.ロビション
J.ヘイレン MI

42 21 W LMGTE Am AFコルセ フェラーリ488 GTEエボ S.マン
J.ピゲ
U.デ・ポー MI

43 25 W LMGTE Am ORT・バイ・TF アストンマーティン・
バンテージAMR A.アル・ハーシー
M.ディナン
C.イーストウッド MI

44 33 W LMGTE Am コルベット・レーシング シボレー・コルベットC8.R N.キャツバーグ
B.キーティング
N.バローネ MI

45 54 W LMGTE Am AFコルセ フェラーリ488 GTEエボ T.フロー
F.カステラッチ
D.リゴン MI

46 55

LMGTE Am GMBモータースポーツ アストンマーティン・
バンテージAMR G.デルマン・バーチ
M.ソーレンセン
J.レノ・モラー MI

47 56 W LMGTE Am プロジェクト1・AO ポルシェ911 RSR-19 PJ.ハイエット
G.ジャネット
M.カイローリ MI

48 57 W LMGTE Am ケッセル・レーシング フェラーリ488 GTEエボ 木村武史
G.ハファカー
D.セラ MI

49 60 W LMGTE Am アイアン・リンクス ポルシェ911 RSR-19 C.スキアボーニ
M.クレッソーニ
A.ピカリエッロ MI

50 66

LMGTE Am JMWモータースポーツ フェラーリ488 GTEエボ T.ノイバウアー
L.プレッテ
G.ペトロベッリ MI

51 72

LMGTE Am TFスポーツ アストンマーティン・
バンテージAMR A.ロビン
M.ロビン
V.アッス・クロー MI

52 74

LMGTE Am ケッセル・レーシング フェラーリ488 GTEエボ K.コッツォリーノ
辻子依旦
横溝直輝 MI

53 77

LMGTE Am デンプシー・プロトン・レーシング ポルシェ911 RSR-19 C.リード
M.ペデルセン
J.アンドラウアー MI

54 83 W LMGTE Am リチャール・ミル・AFコルセ フェラーリ488 GTEエボ L.P.コンパンク
A.ロベラ
L.ワドゥ MI

55 85 W LMGTE Am アイアン・デイムス ポルシェ911 RSR-19 S.ボビー
M.ガッティン
R.フレイ MI

56 86 W LMGTE Am GRレーシング ポルシェ911 RSR-19 M.ウェインライト
B.バーカー
R.ペーラ MI

57 88 W LMGTE Am プロトン・コンペティション ポルシェ911 RSR-19 H.ティンクネル
B.イリベ
O.ミルロイ MI

58 98 W LMGTE Am ノースウエストAMR アストンマーティン・
バンテージAMR I.ジェームス
D.マンンチネッリ
A.リベラス MI

59 100

LMGTE Am ワーケンホルスト・モータースポーツ フェラーリ488 GTEエボ C.ハル
A.ハリアント
J.シーガル MI

60 777 W LMGTE Am Dステーション・レーシング アストンマーティン・
バンテージAMR 星野敏
C.スティーブンソン
藤井誠暢 MI

61 911

LMGTE Am プロトン・コンペティション ポルシェ911 RSR-19 M.ファスベンダー
N.ランプ
R.リエツ MI

62 24

INNOVATIVE ヘンドリック・モータースポーツ シボレー・カマロZL1 J.ジョンソン
M.ロッケンフェラー
J.バトン GY

■リザーブリスト

Order No. Class Team Car Driver Tyre

R1 555 LMGTE Am スピリット・オブ・レース フェラーリ488 GTEエボ D.キャメロン
M.グリフィン
D.ペレル MI

R2 81 LMP2
Pro/Am ドラゴンスピードUSA オレカ07・ギブソン H.ヘドマン
J.P.モントーヤ
S.モントーヤ GY

R3 15 LMP2
Pro/Am ニールセン・レーシング オレカ07・ギブソン A.ウェルズ
M.ベル
TBA GY

R4 46 LMGTE Am チーム・プロジェクト1 ポルシェ911 RSR-19 T.グロック
TBA
TBA MI

R5 44 LMP2
Pro/Am ARCブラティスラバ オレカ07・ギブソン M.コノプカ
TBA
TBA GY

R6 52 LMGTE Am フォーミュラ・レーシング フェラーリ488 GTEエボ J.ラウルセン
C.ラウルセン
TBA MI

R7 95 LMGTE Am TFスポーツ アストンマーティン・
バンテージAMR J.ハーツホーン
TBA
J.アダム MI

R8 59 LMGTE Am ガレージ59 フェラーリ488 GTEエボ A.ウエスト
TBA
TBA MI

ル・マンに挑戦するシボレー・カマロZL1は二日間のテストで1200km以上を走破。これまでのテストの合計走行距離は約1万1000kmに上る
TOYOTA GAZOO Racingが2023年のWEC世界耐久選手権に投入しているGR010ハイブリッド
星野敏、藤井誠暢がドライブするDステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMR
ジャパンカップと合わせて3冠を達成したカーガイ・レーシングの木村武史/ケイ・コッツォリーノ
GTワールドチャレンジ・アジア第4戦鈴鹿 勝者に与えられる特製ヨギボーに座るコメット・レーシングの辻子依旦/山﨑裕介組
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