福井の3階建てビルに壁面装飾、道行く人が注目 藤島高校美術部が「通学路の風景」を表現

ビルの壁面装飾を手がけた藤島高校美術部の生徒たち=5月4日、福井県福井市文京3丁目

 福井県福井市文京3丁目の田原町商店街にあるビルに、近くの県立藤島高校の美術部員が手がけた壁面装飾がお目見えした。縦約10メートル、横約5メートルの大作で、通学路で目に留まった魅力的な風景を漫画のようにこま割りで表現。生徒たちは「登校する生徒や商店街を歩く人たちの気持ちが、少しでも明るくなれば」と話している。

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 子どもの探究心や発想力を育もうと、県内のPTA役員有志らが立ち上げたまちづくり団体「ふくい教育文化推進協議会」が、同校と連携したアートプロジェクトとして企画。生徒7人が昨年6月からデザインや制作を進めてきた。費用の支援を募るふるさと納税型クラウドファンディングにも挑戦し、目標を上回る105万円が集まった。

 協議会メンバーが所有する同市文京3丁目の3階建てビルの壁面に、「今の田原町を撮る」をテーマに絵を描いたボードを設置した。多様な色合いの空を映すガラス張りの春山合同庁舎や川を泳ぐカモ、夜桜を照らす月などを各こまに描き、全体で1日の流れを表現している。

 これまでに経験したことのない大きな“キャンバス”で、ペンキを使うのも全員が初経験。松村和奏さんは「俯瞰して見られない分、頭の中で構図を考えるのに苦労した」と振り返り、菱刈裕梨さんは「ペンキは色を混ぜるのが難しかったけど、表現技法など自分の新しい可能性に気付けた」と笑顔を見せた。

 通学する児童生徒らが足を止めたり写真を撮ったりと注目を集めているという。山本沙和さんは「自分の好きな風景を、多くの人に見てもらえる形で残すことができた」と胸を張った。

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