そんなに建てて大丈夫ですか? 広島駅周辺にホテル5棟へ アパグループ 広島で攻勢 その勝算をCEOが語る

コロナ感染が落ち着き、観光業界は活気づいています。

そんな中、719のホテル・およそ11万室を展開する国内最大級のホテルチェーンが、満を持したかのように広島で活発な動きを見せています。

アパグループ 元谷一志 社長兼CEO
「景気の回復って西からやってくる。景況指数が、わたくしどもの稼働率を見ると、わかるんです。西から回復しています」

アパグループの勝算はいかに? 最高経営責任者CEOが語る、“広島のポテンシャル” とは。

中根夕希 キャスター
広島市内の主なホテルを並べています。もっとも客室数が多いのは、アパホテル広島駅前大橋で727室あります。そして、グランドプリンスホテル広島 510室、リーガロイヤルホテル広島 491室、ヒルトン広島 420室、ANAクラウンプラザホテル広島 409室、ホテルグランヴィア広島 407室、シェラトングランドホテル広島 238室となっています。

そのアパホテルが、新たにJR広島駅周辺に3棟のホテルを建設する予定となっています。「アパホテル&リゾート広島駅前タワー」(2026年開業予定)600室、「アパホテル広島駅前新幹線口」(2024年8月開業予定)294室、「アパホテル広島駅前スタジアム口」(2024年9月開業予定)242室。広島での積極的な展開の理由を、去年4月にグループのトップに立った 元谷一志 社長兼CEOに聞きました。

国内で695のホテル、北米でも41のホテルを持ち、世界でおよそ11万の客室があるアパグループ。広島への進出は、広島駅南口にあった「ホテルやまと」を買収した2008年でした。

その8年後、広島市内で最大級の客室となるアパホテル広島駅前大橋を開業。コロナ禍の去年1月までは、軽症者の受け入れにあたりました。

アパグループ 元谷一志 社長兼CEO
「本当にコロナ禍の3年間はかなり厳しくて、当初、2020年度は経常利益10億円ぐらいしかなかったんです。今、急激に回復しているっていうような状態です」

広島の2棟の営業は、いずれも順調のようです。

アパグループ 元谷一志 社長兼CEO
「おかげさまで非常に高稼働で。高い稼働率と高い単価が実は取れていまして、同じ西日本でいうと、福岡よりも単価が高く売れています。たぶん、街の規模とかは福岡の方が大きいと思うんですけども、それ以上におそらく観光客が訪れる要素が広島は多いのかなと思っています」

元谷一志 氏は、去年4月、父・外志雄氏の会長就任に伴い、グループの社長兼CEOとなりました。母・芙美子 氏らと経営の舵を取っています。

元谷氏が、広島市で新たに手がけるのが、この3棟。すべて広島駅周辺です。

アパホテル広島駅前新幹線口(2024年8月開業予定)

来年8月、開業予定の「アパホテル広島駅前新幹線口」は、14階建て・294室で大浴場や露天風呂を設けます。

アパホテル広島駅前スタジアム口(2024年9月開業予定)

来年9月に開業するのが、「アパホテル広島駅前スタジアム口」。同じく14階建てで、客室は242室。

アパホテル&リゾート広島駅前タワー(2026年開業予定)

そして、3年後の2026年春には「アパホテル&リゾート広島駅前タワー」の開業を目指します。こちらは30階建て、600の客室にプールも備えます。

アパグループ 元谷一志 社長兼CEO
「わたくしどもは、けっこう主要都市ではプライスリーダーに実はなっていまして。おそらくこの3つができたときには、広島市内でコンベンションだとか、スポーツの大きい大会とかコンサート需要があったときに弊社にたぶん話が来ると思います。そこでわたくしどもがプライスリーダーとしてしっかり値付けをすれば、まだやっていけるかなと」

それでもこの3つのホテルが稼働すると、広島駅周辺で展開する客室は、アパグループだけで1954室に拡大します。勝算は?

アパグループ 元谷一志 社長兼CEO
「実はこの3か所の取得は、新CEOになってから取得したもので、すごくそういった面においてはアフターコロナを見すえた布石を打ちたいと思っていまして。(広島では)3000室ぐらいは全然、余裕かなと思っていまして、街のマーケットとしては、それぐらい十分、ポテンシャルとしてあると思っています」

広島のポテンシャル

アパグループ 元谷一志 社長兼CEO
「まずは1つは、人口規模とビジネスの中四国の経済圏の中心であるということ。もう1つは観光事業として今、広島駅がすごく注目されていると。宮島もありますし、尾道のしまなみ海道もあります」

「また、新しくサッカースタジアムを今、建築中ということで、わたくしどもは、JFA(日本サッカー協会)とことしの3月から提携をしました。日本代表戦も広島で今、ご検討されていらっしゃるとお聞きしたので。そういった面では、すごく追い風だなと思っています」

元谷氏の視線は、広島駅周辺だけではなく、ほかのエリアにも向けられています。

アパグループ 元谷一志 社長兼CEO
「もちろん案件ありきだと思うんですけれども。当然、広島中心街であります八丁堀紙屋町流川、その辺りにもひょっとしたらニーズとしてはあるかもしれませんし。それ以外にも福山尾道、また廿日市、あと宮島とか、いろいろ案件ありきで考えていきたいと思います」

広島には弱点も…

アパグループ 元谷一志 社長兼CEO
「広島の残念なポイントっていうのは、空港が遠いっていうことです。はっきり言えば。広島西飛行場があったときは、すごく便利だったと思うんですけれど。実際そのアクセスをもっとよくしないといけないなと、すごく思っています」

「新幹線との連動もちょっとできていないっていうのが、ちょっと残念かなと思っています。もう少し公共交通機関のアクセスを改善していただければいいのかなと思います。福岡の優位性は、空港と街が近いということもある。広島もその点を工夫されて、公共交通機関でよりアクセスをよくすれば、もっと訪れると思います」

まもなく… 広島サミット

アパグループ 元谷一志 社長兼CEO
「一大見本市だと思いますよ。実際、来られた方がこれほどすばらしい観光都市で、さらに気候的にもいいし、食事もおいしい。ぜひ、G7で来られた国民の方も一度、訪れてはいかがかというような外交になると思う」

「世界中の方がやっぱり広島のことを知ってらっしゃいます。もちろん、1945年の出来事をみなさん、覚えていらっしゃるっていうこともあると思うんですけども。そこからどのように復興したかということが、すごく、みなさん、びっくりされています。たぶん一度、訪れて。さらに街を見ますと、それを感じさせないような活気がありますので」

元谷氏は、ホテル業界のマーケットを世界的な視野で見すえています。

アパグループ 元谷一志 社長兼CEO
「特に訪日客の傾向としまして、長期滞在すればするほど、お金が落ちます。当然のことながら、やっぱり遠くから来られた方は大きい買い物もされるので、ホテルだけではなくて、近隣にもかなり潤いがあるかなと思っています。経済波及効果は高いと思っています」

サミット後のインバウンドはいかに…。アパグループもその行方を注視しています。

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