大分県立図書館、郷土資料のデジタル化とネット公開を推進【大分県】

スマートフォンやパソコンで郷土資料を閲覧できる「おおいたデジタル資料室」。県立図書館の館内にあるパソコン(専用端末)も利用できる=大分市王子西町
おおいたデジタル資料室で閲覧できる「大化帖下絵」上巻の一部

 大分市王子西町の県立図書館は、貴重な郷土資料をデジタル化してインターネット上に公開する取り組みを進めている。併設する県立先哲史料館、県公文書館の収蔵資料を含めてこれまでに4万点以上を掲載し、誰でも自由に見られるようにした。「紙と違って劣化する心配もない。気軽に利用してほしい」と呼びかけている。

 目標とする「いつでも、誰でも、どこからでも利用できる図書館」に向けた事業の一環。県立図書館ホームページの「おおいたデジタル資料室」で公開している。古文書や古地図、行政資料、著作権の期限が過ぎた1955年以前の書籍などを選んでいる。

 特に貴重なのは、県内の文化財などをまとめた「大化帖(たいかちょう)下絵」(上下巻)。県出身の歴史学者・後藤碩田(せきでん)(1805~82年)が画家に描かせて編さんした。刊本は県立先哲史料館や大分市歴史資料館も保管しているが、下絵は図書館が所蔵。史料館などではページを広げて展示するケースが多く、全てを閲覧できる機会はほとんどない。

 県立図書館は約123万冊を所蔵しており、劣化や破損の恐れがあるため一般来館者が手に取れない物も多い。このため昨年度から資料のデジタルデータ化に着手し、今年2月から利用できるようにした。個人のスマートフォンやパソコンで見られる。一部は館内の専用端末でのみ閲覧可。

 同館は「郷土研究にも活用できる資料を自由に見てもらえる。今後もデジタル化を進めたい」と話している。

 問い合わせは同館(097.546.9972)。

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