皆勤4年、朝刊配達 新聞奨学生の高橋さん、大学卒業 「先輩や同僚の協力、感謝している」

新聞奨学生としての勤務を皆勤で終えた高橋里奈さん(右)と廣田実会長=横浜市青葉区

 新聞配達の仕事をしながら返済不要の奨学金を受けて通学する「新聞奨学生制度」を活用し、横浜市青葉区の新聞販売店で働いてきた女子大学生が今春、大学を卒業した。未明に朝刊を配ってから学校に通う日々を送り、仕事を休まない「皆勤」の4年間を終えた。

 千葉県銚子市出身の高橋里奈さん(22)は幼少時から絵が好きで、「自分で描いた絵を動かすこと」にもひかれていた。アニメーション業界を志望し、高校卒業後は東京の大学で専門的な学びを求めた。

 授業料や必要な機材、1人暮らしの費用負担は重いが、夢を諦めたくない。家族で話し合い、新聞奨学生制度の活用を決めた。東京工芸大芸術学部アニメーション学科に進学。廣田新聞店(横浜市青葉区)の藤ケ丘店で働き始めた。

 奨学生が住み込む寮で暮らし、未明から早朝まで新聞を配達した後、東京・中野の大学のキャンパスに通い続けた。当初の指導を担当した現営業部長の平岡俊和さん(41)は「重量が70キロを超えることもある新聞配達には多くの苦労があったと思う」と目を細める。

 「先輩や同僚が協力してくれて感謝している」と振り返る高橋さん。現在は就職活動中だが「アニメ制作も一人では仕事はできない」と、協力の大切さをかみしめる。

 廣田新聞店の廣田実会長は、自身も新聞奨学生の出身。例年30人ほどの奨学生を受け入れており、「夢を持つ若い人を応援していきたい」と話している。

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