上越地域「重点地域」指定へ 県の防除実施計画案 特定外来生物アライグマ

 県はこのほど環境審議会自然環境部会を開き、生態系や農作物などに被害をもたらしている特定外来生物のアライグマの防除実施計画策定の中で上越地域を「重点防除地域」に指定するなど、県内全域で5年かけて防除を行う予定。
 野生化したアライグマは全国で生息分布を広げ、県内ではコメや野菜などの農作物被害、乳牛を傷つける畜産被害、希少種の捕食などの生態系被害、人家や神社仏閣などを傷つけ、ふん尿で汚染する生活環境や文化財の被害が確認されている。また、アライグマ回虫といった人畜共通感染症も媒介する。

農作物や生活環境等に被害を及ぼすアライグマ。上越3市は特に生息数が多いため、「重点防除地域」に当たる(2021年7月、上越市で捕獲 市環境施策課提供)

 県内では2010年から10年間で、27頭のアライグマを捕獲。上越、糸魚川両市が中心で、年々捕獲数が増えている。島しょ部を除く県内広域でも確認され、捕獲されていない地域でも目撃されるなど、自然繁殖も予想される。
 こうした状況を踏まえ、今後の甚大な被害を防ぐため、外来生物法に基づく「県アライグマ防除実施計画」を策定し、市町村と連携して防除体制の構築を図る。
 計画案では県内を5地域に区分し、取り組み内容を設定。上越3市は県内で最も高密度で生息の恐れがあり、周辺地域への進入源としても懸念されることから、徹底捕獲と地域住民の捕獲への参画などに取り組む。この他、新潟市や柏崎市など17市町村を「警戒防除地域」、十日町市や湯沢町など8市町村を「侵入防止地域」として対策を行う。
 県は今月19日まで、計画案のパブリックコメントを実施中。それらの意見を踏まえ、6月上旬に計画策定を目指す。

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