吉田正尚が高校時代まで通ったバッティングセンター…打席は今も現役 福井県内、「通う人増えた」

当時の吉田正尚選手と競うようにフルスイングする中学生ら=福井県福井市下荒井町の「北陸バッティング」

 米大リーグ、レッドソックスの吉田正尚選手(福井県福井市出身)は小学、中学、高校を通し、同市内のバッティングセンターに通っていた。当時使っていた打席は今も現役。訪れる野球少年たちはバットを手に同じ打席に立ち、吉田選手に負けじとフルスイングしている。

 小学時代に父正宏さんと週2回ほど通ったのは、同市下荒井町のバッティングセンター「北陸バッティング」。球速100~120キロの打席の入り口には「吉田正尚君 高学年に練習した打席です」などと書かれた札が掛かる。小谷美和店長(50)は「体は大きくないが、黙々とバットを振り込む姿が印象的だった」と吉田選手を懐かしむ。

 約47メートル先のネットに、打球の行き先が分かりやすいよう黄色いラインが引かれている。当時は黄色のほか高さが異なる位置に白色のラインが引かれていた。吉田選手は高い位置の白色ラインを打球が越えなければ「もう1回」と打席に入り続け、10回入る日も少なくなかったそうだ。

 中学、高校時代に通っていたのは同市新保町の「福井スタジアム」。当時から硬式球を扱い、吉田選手は木製バットを手に訪れていた。休日になると午前9時の営業開始から約1時間振り込んでいたという。

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 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本を優勝に導いた活躍もあり、吉田選手が使っていた打席が分かるよう工夫。運営会社の松村豊代表取締役(71)は「小さい子に夢を与えられれば」と話していた。

 両バッティングセンターの「打席」に立つ人たちは、まるで当時の吉田選手と競うかのように打球を飛ばす。北陸バッティングで打ち込んでいた足羽中野球部の男子生徒(14)は「吉田選手の活躍で、もっと野球をやりたいとモチベーションが上がった。自分も長打を打てる選手になりたい」と汗を流していた。小谷店長は「(吉田選手の活躍で)通う人は増えてきた。ここからまたすごい選手が誕生してくれれば」と吉田選手が育った場所から新たなスターの誕生を期待している。

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