入管法改正案が衆院通過 議論熟さず 立民など対案提出  

入管難民法改正案を賛成多数で可決した衆院本会議=9日午後、国会内

 外国人の収容・送還ルールを厳格化する入管難民法改正案が9日の衆院本会議で与党や日本維新の会などの賛成多数で可決され、参院に送られた。政府・与党は今国会での成立を目指すが、難民申請中の送還を可能とする内容に反対は根強い。「議論が熟していない」との指摘がある中、一部野党からは参院に対案が共同提出され、激しい論戦となりそうだ。

 「日本の難民認定の基準が厳しすぎる。自由主義社会の一員として、当然果たすべき義務を果たしているとはいえない」  

 立憲民主党の米山隆一氏は改正案の採決に先立つ反対討論で、難民認定手続きの公平・中立性が確保されておらず、難民認定率が低すぎる問題点を指摘した。

 衆院法務委員会では、与党が立民の主張を踏まえて入管から独立して難民申請を審査する第三者機関の設置「検討」を付け加えた修正案を示したものの、立民は「不十分」として修正協議が決裂、反対に回った。

 同委員会委員を務める自民の鈴木馨祐氏(7区)は本会議後、取材に「日本が開かれた国になっていくために必要な手続きを整備する法案が可決された。これからしっかりと説明をしていくことが大事だ」と強調。与党関係者は「野党側に大幅に譲歩し、できる限りの修正案を提案したが合意には至らなかった。審議不十分という指摘は全く当たらない」と話すが、衆院審議などで指摘されたさまざまな課題については解決に至っておらず、参院での激論が予想される。

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