足銀、副業制度導入から半年 ピアノ講師や映像制作・・・ 13人が活用

トライアスロンの審判用ユニホームを手にする小島さん。手前は審判のライセンス=宇都宮市

 めぶきフィナンシャルグループ傘下の足利銀行(清水和幸(しみずかずゆき)頭取)が昨年11月、県内の地域金融機関で初めて「副業制度」を導入してから半年。同行では今月9日までに計13人の行員が制度を使い、ピアノ講師や執筆活動、映像制作などさまざまな副業に就いている。制度を利用した行員からは「本業にも前向きに取り組める」と好評で、同行は今後も多様な働き方を推進する考えだ。

 同行の副業制度は就業時間外に、副業先と雇用契約を結ばない個人事業や業務委託の形で働くことを認める。コンサルティング事業など銀行業務と重なる競業は禁止する。長時間労働を防ぐため、2カ月ごとに報告書の提出も求めている。

 これまでに申請した13人は20~60代で、部署も本部や営業店とさまざまだ。

 そのうちの1人、江曽島支店の支店長代理小島浩紀(こじまひろき)さん(60)は、自転車ロードレースやトライアスロンの審判員を副業にする。ルールの確認や安全なレースの進行、コースのチェックなどを担っている。

 契機は約10年前。知人に誘われて両競技の公式審判の資格を取得した。これまでもボランティアなどとして審判をやっていたが、制度導入を受け、昨年12月に申請した。3~10月の自転車レースのシーズン中は、休日を活用して6レースほどで審判を務め、報酬を受け取る。

 小島さんは「普段は接点のない人と、レースの成功という共通目標を持って取り組むのはやりがいがある」と強調。副業で充実した時間を過ごし、「普段の仕事も前向きに取り組むことができる」と感じている。

 同行によると、この他に小説を執筆したり、映画の撮影に携わったりしている人もいる。毎月数件ずつ相談や申請があるほか、就職活動中の学生からも副業の可否や制度について問い合わせがあるなど、関心の高まりを感じるという。

 同行は制度導入の狙いとして、地域貢献や行員の自己実現支援、新たなスキルの獲得を挙げる。人事部の担当者は「多様な働き方を認め、従業員の生きがいづくりを銀行としてサポートすることで、本業にも還元できるようになればいい」と話している。

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