「飼いきれない」、相談寄せられる 譲渡犬引き取り慎重に 県動物愛護指導センター

毎月行われている子犬の譲渡会=宇都宮市今宮4丁目

 栃木県動物愛護指導センター(宇都宮市)が譲渡した子犬について、引き取った飼い主から「飼いきれない」との相談が寄せられている。新型コロナウイルス禍でのペット需要の高まりなどを背景に譲渡希望者が増加。一方、負担を考えずに引き取り、飼育放棄につながるケースがあるという。センターは4月から、譲渡希望者に必須としている事前講習会への参加から最短で2日後だった譲渡までの期間を半月ほどに延ばし、慎重な判断を促している。

 センターは動物愛護精神の普及啓発や殺処分の減少を目的に、捕獲した野犬の子どもなどさまざまな事情で収容された子犬を、県民に譲渡する事業を毎月実施している。

 テレビ番組などを通じた収容犬の認知度向上などで、子犬の譲渡希望者は増加傾向にある。2020年、21年度はそれぞれ、年間約130頭を県民に引き渡した。譲渡を受けるための事前講習会には年間約350人が参加し、毎回抽選となる人気ぶりだ。

 一方、引き取った人からは年に数件ほど「飼いきれないため手放したい」「家族に犬が慣れない」などの相談があるという。担当者は「センターに相談せず捨ててしまうなど、把握できていないケースもあるだろう」と頭を悩ませる。

 講習会では収容犬の特性や飼育にかかる時間やお金、家族の賛成が必要なことなどを説明する。ただ従来は、子犬を譲り受ける譲渡会の開催が最短で講習会の2日後と短く、負担を考えずに勢いで引き取ってしまうケースがあったという。

 そのため4月からは参加できる譲渡会を講習会の翌月と変更し、半月ほどの期間を開けた。譲渡の申し込み前に希望者に熟考を促している。センターの担当者は「犬を飼うことについて時間をかけて家族と相談してほしい」と話している。

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