富山商8年ぶりV 富山一にサヨナラ2―1

サヨナラのホームを踏んだ鶴田を囲み、歓喜に沸く富山商ナイン=富山市の県営富山野球場

 第95回春季県高校野球大会最終日(9日・富山市の県営富山野球場)決勝が行われ、ノーシードの富山商が富山一に2―1でサヨナラ勝ちし、8年ぶり24度目の優勝を果たした。富山商は6月3日に金沢市で開幕する北信越大会に挑む。同校の北信越大会出場は3季ぶり56度目(春は5年ぶり26度目)となる。

 富山商は二回、失策にヒットと暴投が絡み、1点を先制された。五回2死一塁で、竹田哩久(3年)の左前打で敵失を誘い、一走・白木球二(同)が同点のホームを踏んだ。九回は四球を足場に送りバントと申告敬遠で好機を広げ、さらに敵失が絡んで1死満塁。この日3打数無安打の福田敦士(2年)が放った左犠飛で、三走・鶴田尚冴(同)がサヨナラのホームに滑り込んだ。エース右腕の上田海翔主将(3年)は5安打されながら1失点で完投した。

  ●仲間「信じるだけ」 上田、粘りの投球

 1―1で迎えた九回1死満塁、高々と上がった打球が左翼手のグローブに収まると、一塁側のベンチとスタンドが沸いた。頭から本塁に突っ込んだ鶴田は、すぐに右手を振り上げて大きくジャンプ。仲間が次々と集まり、歓喜の輪が広がった。1点を争う好ゲームで、勝利の女神がほほ笑んだのは富山商だった。

 打線が振るわない中、上田は「1点も取られないように」との強い気持ちでマウンドに立ち、変化球を主体に組み立てたが、味方の失策と自身の暴投で先制点を献上。それでも「信じるだけ」と粘りの投球を続け、仲間の奮起を待った。

 五回2死一塁で、打席には打撃好調の竹田。「絶対に出る」と誓い、狙っていたスライダーを左前に運ぶと敵失を誘い、一走が一気にホームイン。猛打賞の活躍を見せたリードオフマンは二進し、塁上で両手を力強く握り締めた。

  ●ピンチで好返球

 六回には1死二、三塁のピンチで二塁手の白木、七回2死二塁では中堅手の足谷蒼太(3年)の好返球が光った。本塁で走者を刺し、勝ち越しを阻止した。

 「仲間に助けられた」と上田。八回を打者3人で片付けると、九回は1死三塁から2連続三振で切り抜けた。課題は打撃力と投手力の向上。「制球も速球の質もまだまだ。北信越優勝へもっと高いレベルで投げたい」。昨年12月に腰のけがから回復した背番号1は、チームを25年ぶりの頂に導くため力強く言い切った。

粘りの投球で完投勝利を収めた富山商の上田

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