新型コロナ、5類移行後の留意点は 県立中央病院・阿部感染対策部長に聞く

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行し、今後の感染対策で留意すべき点は何か―。最前線で対応に当たる県立中央病院(山形市)の阿部修一感染対策部長はウイルスの現状を踏まえ、日常生活では緩和の方向で問題ないとしつつ、体調不良時などは自身や周囲の状況に応じたマスク着用が重要との見解を示した。

 3年余りに及んだ2類相当としての新型コロナ対応について、阿部部長は「最初はウイルスの広がり方なども分からず、本当に手探り状態。考える余裕もなかった」と振り返った。デルタ株までは、無症状だった患者が数日で急変するケースもあり「怖い感染症だった」。オミクロン株が主流となった現在は重症化率が低下するなど、「病気としての性質が変わったことを実感した」という。

 こうした変化を受け、マスク着用や手指消毒などの対策は「(重症化リスクの高くない人が)日常生活を送る上で、常に気にする必要はなくなってきただろう」とみている。一方、持病のある高齢者をはじめ、高リスク者は発熱が命に関わることもあり得る。病院や介護施設を訪れる際などは、これからもマスク着用が不可欠だと指摘する。

 マスクは感染予防として以上に、自身が保有するウイルスの拡散を抑える効果が期待される。「体調が崩れたり、何らかの症状が出たりした場合はマスクを着けるべき。感染予防としての着用は個人の自由だが、他者への配慮は引き続き必要だ」と強調した。この3年間で一人一人が培った経験を生かし、TPO(時間・場所・場合)に応じた、メリハリの利いた対策を意識してほしいとしている。

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