青森県内の児童虐待相談、初の2千件超 2022年度

 青森県内6児童相談所が2022年度に対応した児童虐待相談は2039件で、21年度より346件(20.4%)増え、過去最多となった。県が9日、発表した。1990年度の統計開始以来、2千件を超えたのは初めて。県こどもみらい課の大山和也課長は理由について「虐待相談に対する周知を続けてきた結果、児童本人からも相談しやすい環境が整い、一般からの通告の認識が高まっている」との見方を示した。

 これまで相談対応件数が最も多かったのは、20年度の1749件だった。年間の相談件数は、6年連続で千件を超えた。

 相談種別の4区分で最も多いのは、子どもに対する暴言などの「心理的虐待」で、全体の半数以上の1124件(21年度929件)だった。身体的虐待は469件(同420件)、食事を与えないなどのネグレクトが431件(同325件)、性的虐待が15件(同19件)。22年度は、ネグレクトに関する相談件数の増加が目立った。

 対応は、数回の指導で終結する「助言指導」が1697件で、全体の83.2%を占めた。同課は「多くの場合、深刻にならない早い段階で、虐待相談に対応できている」と説明。児童福祉施設入所や里親委託など、計37件で子どもと保護者を離す措置を講じた。

 相談経路は、警察が最多の948件。次いで学校が378件、家族が189件など。児童本人からの相談も38件あった。

 児童が死亡する事例は起きていないものの、大けがを負わせる事例や、児相職員と保護者との意思疎通が難しい、または意思疎通を拒む事例も増えているという。県は本年度、弘前児童相談所に警察からの出向職員を新たに1人配置するなど、関係機関との連携強化を図っている。

 虐待などの相談は、通話無料の児童相談所虐待対応ダイヤル「189」へ。

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