【DeNA】WBCで注目された今永の直球回転数 小杉コーチ「回転数が全てではない」

データを活用した選手指導を進めている小杉投手コーチ=昨年11月、横須賀市(中西 悠写す)

 データやテクノロジーが野球を根本から変えつつある-。プロ野球を担当していると耳にする言葉だが、その実態を理解できている自信はない。野球の進化に、取材する側も少しでも追いつけないものか。ITがもたらす変革に迫るため、横浜DeNAのファーム投手コーチで、データ活用に詳しい小杉陽太氏(37)に聞いた。

 日本代表の優勝に沸いたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、注目されたデータがある。横浜DeNAのエース今永昇太の、直球の回転数だ。米大リーグでもトップ級とされる数値を記録した。

 そもそもボールの回転数が多いと、どのような利点があるのか。小杉氏によれば、「回転数が上がれば、落ちにくいボールにはなる」という。いわゆる捕手のミットに届くまでに、“おじぎ”しにくい伸びやかな直球になるというわけだ。

 ただし、「回転数が全てではない」とも小杉氏は強調する。「回転数が多いに越したことはないが、そこには回転の軸や回転の効率があり、どのゾーンに投げているかが重要で、そうした要素も含めて今永の直球は空振りが取りやすいボールになっている」。そして、ある意味では分かりやすい数字だからこそ、「回転数が全てではないと選手に伝えている」という。

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