茨城・つくば市、チャットGPT導入 新機能追加 筑波大と共同研究

「AI顧問けんじくん」を使う、つくば市職員(同市提供)

■出典明示や機密性

茨城県つくば市は10日、対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を業務に導入し、筑波大と共同研究を始めたと明らかにした。AIを専門とする鈴木健嗣教授が、全職員が使う別のチャットツールに実装。入力データをチャットGPTに利用されないようにしたほか、回答情報の出典を示すなど新機能を追加した。市は「独自機能を設ける自治体は珍しい」として、職員の業務支援や市民サービス向上につなげる。

市は先月10日、自治体向けチャットツール「LoGoチャット」に連携させ、同25日から、期限を設けずに全職員が使えるようにした。実装した鈴木教授にちなみ、「AI顧問けんじくん」のアカウント名で表示される。

この日の定例記者会見で五十嵐立青市長は「政策などのたたき台を作るには非常に有効」と述べ、積極的に活用する方針を示した。

LoGoチャットは、パソコンやスマートフォンなどの端末から、行政専用のネットワークを通じて職員同士が文章や画像などをリアルタイムでやりとりできる。チャットGPTのデータ連携機能を使うことで、LoGoチャットで活用できるようにした。

市情報政策課によると、用途に制限は設けないが、マイナンバーなど機密性の高い情報は入力できない仕組み。個人情報などが入力されていないか、同課でもチェック。同時に、職員が入力したデータが学習データとしてチャットGPTに二次利用されないよう、セキュリティー対策にも配慮している。

利用できる市職員2150人のうち、これまでに約250人が英文の添削、新規事業の発案などに活用しているという。今後、知識や活用能力といったリテラシーを高める研修のほか、ルールの作成を検討する。使用データを積み上げ、筑波大と共同で有効な使い方を検証していく。

同市の藤光智香政策イノベーション部長は「出てきた回答をそのままうのみにはできないので、あくまでたたき台の参照材料などとして活用している」と話した。

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