小平智が装着する「右手のコテ」 タイガーと同じ“角度”を作れる!?

購入したばかりという練習器具。何に使う?(撮影/服部謙二郎)

◇米国男子◇AT&Tバイロン・ネルソン選手権 事前情報(10日)◇TPCクレイグランチ(テキサス州)◇7414yd(パー72)

米国に来て6シーズン目を迎える小平智。「メキシコオープン」以来2週ぶりの試合となるが、練習場で球を打つ右手には剣道のコテ(籠手)のような練習器具を着けていた。時にそのコテを外して球を打ち、再びつけて球を打つことの繰り返し。いったいどんな効果があるのだろうか。見た目の印象からは、右手首の角度をキープする代物に見えるが…。

小平に話を向けると、「これを着けると、右手ってこんなに使わないんだっていうことに気づきますよ」という意外な答え。要はこういうことだ。

スイングアークが大きくなってきた(撮影/服部謙二郎)

この練習器具は板のようなもので右手首の角度を固定し、右手の甲がその角度以上甲側に折れないようにできている。小平の場合、タメが強くなって右手の角度が付き過ぎてダウンスイングを迎えることが多く、このコテを着けることで角度が付き過ぎなくなるという。結果、「スイングアークが大きくなって、球が強くなった気がします」とインパクトの厚みが変化した。今までは手首を使い過ぎて(手首の角度が付き過ぎて)クラブが鋭角に下りやすく、当たりが薄くなっていたということだ。

練習器具の名は「PRO SENDR」(プロセンダー)。「良さそうなモノは何でも試してみたい。合わなかったらやめればいいし」とメキシコにいたときにネットで“ポチっ”としたとか(約160ドル)。前週フロリダの家に届いたばかりで、思ったより大きな効果を感じて、今週ダラスの試合まで携帯してきたのだった。

球を強く押せている(撮影/服部謙二郎)

果たしてアマチュアに効果はあるのか?「これを着けたままだと、バックスイングでパッとクラブを上げられないので、手を使わないでクラブを上げる感覚が自然とつかめると思います。始動で右手の甲が当たる人は手でクラブを上げている証拠です」。そう言って小平は自分の着けているコテを外し、「やってみます?」と筆者に渡してきた。うながされるままに装着してクラブを上げてみると、トップまで右手の甲が当たらず、トップでようやく甲が触れた。

「これは右手の甲が”当たらない”のも分かるので、それはそれで適切な角度が付けられてないのも分かると思います。トップで右手首の角度が作れていないと球はつかまりにくいと思います」。ちなみにこのトップの角度はタイガー・ウッズのトップの右手の角度と同じように開発されたというから、となると私はタイガーと同じ右手の角度? その発言に、小平を含め関係者一同は苦笑い。

ショーン・フォーリー氏と器具の話をする(撮影/服部謙二郎)

聞けば、この「PRO SENDR」の開発者の一人にショーン・フォーリー氏(タイガーの元コーチ)の名があった。同氏がたまたま練習場にいたので話を聞くと、やはりその効果は「ワイドダウン(クラブを遠くに下ろす)が作れて同時にスクエアフェースを保てる」という。右手の角度がなくなればフェースは開きやすいし、角度が付けばその逆になりやすいそうだ。彼の教えているアン・ビョンフン(韓国)やキャメロン・チャンプもコテを使用中とのこと。早く日本でも売ってくれないかな?(テキサス州ダラス/服部謙二郎)

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