ピン i230 アイアンを筒康博が試打「『i210』とは違う複合ヘッド」

数々の勝利に貢献した名器の後継 HS40m/s台のクラブフィッター評価は!?

渋野日向子のメジャー制覇をはじめ、世界各国で70勝以上を積み重ねた名器「i210 アイアン」(ピン)の後継モデル「i230 アイアン」。発売から3カ月が経過し、スムーズにスイッチしたツアープロの様子と、各メディアで称賛する声の多さで、性能の高さを確信しているゴルファーは多いだろう。そんな正統進化を遂げたモデルは、アマチュアゴルファーにとって本当に“買い”か!? ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?

「圧倒的に直進性アップ! 余計なサイドスピンが入らない」

やや左につかまり気味だが どストレートな弾道も多かった

―率直な印象は?
「さすがピンが約4年の歳月をかけ、満を持して発売しただけのことはある、と思わせてくれる性能です。ロングセラーだった『i210』も、誰もが認める高性能アイアンでしたが、今作はそれ以上に直進性が高まっています。ミスヒットしても余計なサイドスピンが入らず、打った分だけちゃんと飛距離が出せる。確実にストレートに狙えるアイアンに進化した印象を受けます」

「『i210』以上のスピン性能&打感を向上させたモデル」と同社は公表

―「i210」とそれほど違う?
「他社を含めた現在のアイアンのトレンドは、複合金属や多パーツ化された状態で、いかにシルエットをスッキリ見せるかというところだと思いますが、その中心に入るモデルといえそうです。今振り返ると『i210』は、ブレードというよりキャビティ要素の強いモデルだった印象。その点『i230』は、複合素材バッジ&CTPエラストマーを搭載し、中身が詰まった“複合アイアン”という印象が強くなっています。見た目や打ったときのボールの球質は似ていますが、性能はまた違った要素を加えた進化版というイメージを抱きました」

ロフト&ライ角を調整しやすくするネックの凹み

―“やさしいアイアン”といえる?
「そうですね。“やさしい”というと、ボールを上げやすい、つかまりやすいといった要素が思い浮かぶと思うのですが、この『i230』は、自分の現在の実力通り、飛距離通りにちゃんと飛ばせて、しかもミスヒット時の左右の曲がり幅を抑えてくれる“やさしさ”を持ち合わせています。方向性とミスヒットに対するやさしさは備えていますが、とにかく上げて飛ばせるようなやさしさは持ち合わせていません」

バックフェース全面にエラストマー・インサートを搭載

―弾道は上げやすい?
「上げやすかったです。私はインパクトでボールを上からつかまえていくタイプのため、打ち出し角は比較的に低めなのですが、打ち出しからパッと高く飛び出してくれる点で、とても好印象でした。私のHS(1Wで40m/s前後)と同じ一般的なゴルファーは、ミドルやショートアイアンで、しっかりキャリーの差や弾道の違いを出しやすいといえます。また私よりも速い人は、6番より上のロングアイアンでイメージ通りに運べる実感が湧くでしょう」

濡れた状態やラフからでも再現性を向上させる「マイクロマックス・グルーヴ」搭載

―気になるデメリットは?
「あえてデメリットを探すなら、試打をせずにクラブを見ただけで購入しようという人には向かない点でしょうか。このモデルに限らず、見た目と性能のギャップがすごくあるものが増えていて、どれを選んでいいかで悩む人が急増している気がします。スッキリしているけれどボールを上げやすいアイアンや、ロフトが立っていないけれど飛距離が出るモデルが多いなか、どのモデルを選ぶべきか。試打の記事や動画も参考にはなりますが、アイアンはやはり自分で打って、フィーリングに合うかどうかで決めてほしいです」

「ズルい飛び系『G710』のテクノロジーも要素として含まれているかも」と筒

―どのような人向き?
「アイアンを買い替える主なタイミングは、スコアがいくつでもいいと思っているエンジョイゴルファーより、100、90、80切りといった明確な目標を立てている時期が多いと思われます。そういった意欲的なゴルファーに、アイアンをきちんとイチから見直し、何番からそろえるべきか、どんなシャフトでどんなスコアメークで、どのように役に立つモデルかを吟味して選ぶ人に、ぜひ候補に挙げてほしいです。そんな要望に応えてくれる、ちゃんと自分の実力に合う“やさしいアイアン”だと思います」

3項目5点満点のハイスコア【総合評価4.8点】

【飛距離】4.5
【打 感】5.0
【寛容性】5.0
【操作性】4.5
【構えやすさ】5.0

・ロフト角:33度(7I)
・使用シャフト:NSプロ モーダス3 ツアー105(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

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