“通算51アンダー” イ・キョンフンは歴史的3連覇なるか

イ・キョンフンはAT&Tバイロン・ネルソンで3連覇を狙う(Getty Images)

「AT&Tバイロン・ネルソン」は11日(木)、テキサス州ダラスで開幕する。TPCクレイグランチに会場が移った昨年から、2年続けてイ・キョンフン(韓国)が連覇中。PGAツアーのChuah Choo Chiang氏がオリジナルコラムで同一大会3連覇の快挙の可能性について言及した。

ゴルフの歴史書で、サム・スニード、ジャック・ニクラス、トム・ワトソンといった名手の横に自分の名前が載ることはそうあることではない。イ・キョンフンは昨年、1944年にスタートした「AT&Tバイロン・ネルソン」において史上4人目の2連覇を達成した。

イは今週、PGAツアーの歴史に新たな1ページを刻む戦いに臨む。3連覇の達成者は実に少なく、過去40年間で3人だけ。直近では2009年から3大会連続で「ジョンディアクラシック」を制したスティーブ・ストリッカーだ。

他にはオーストラリアのスチュアート・アップルビーが2004年からハワイでの「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」で優勝。タイガー・ウッズは全盛期の1999年から「ザ・メモリアルトーナメント」を立て続けに制覇した。

31歳のイはTPCクレイグランチでの2年で通算51アンダーパーという驚異的なスコアを残している。2位の選手には8打差だ。「ここには素晴らしい思い出がある。最終日に9アンダーで回ったのは最高の経験。正直なところ、プレッシャーのかかる機会にとても感謝している。ベストを尽くしたい。達成できたら最高です」

当地ではイのスタイルに合ったバーディ合戦が展開される。2022年大会で全選手が記録したバーディ数は2228。イーグルは104記録された。昨季大会で最も多い。イはTPCクレイグランチでの過去2年、パー5を81.3%のバーディ以下のスコアで上がり、全選手で2番目の27アンダー。ただし、今年は547ydのパー5だった12番が493ydパー4に変更されている。

トム・ワイスコフ設計のレイアウトはフェアウェイが広い。イのアグレッシブなゴルフを生かすには十分。「このコースが大好き。僕は1Wで攻めるのが好きだから」。昨年は地元テキサスのヒーロー、ジョーダン・スピースも破って見せた。「ここではパッティングもすごくいいから、自信を持っている。それがカギになると思う」

カウボーイハット姿で家族と記念に収まったイ・キョンフン(提供:PGAツアー)

イム・ソンジェやトム・キム、キム・シウー、アン・ビョンフンらツアーで活躍する韓国人スターたちの中でも、イは自信を内に秘めている。前週の「ウェルズファーゴ選手権」で8位に入り、1月の「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」以来のトップ10入りを決め、自信を取り戻して今週を迎える。

スイングコーチのグラント・ウェート氏は、イが家族と住むオーランドを拠点にしており、指導を受けるにはうってつけだった。「ウェルズファーゴ選手権」の前に2週間のオフを取り、パッティングの練習に精を出した。

「この2、3カ月はパットに苦労してきたけれど、先週だいぶ良くなったと思う。今はアイアンショットにも自信があるので、準備万全」。イは今週の初め、前年王者として大会用にカスタマイズされたカウボーイハットを製作しているマッキニー・ハット・カンパニーを訪れた。テキサスのカウボーイ姿で店を出て、歴史的な3連覇を見据えた。

夢に描くのは愛娘のセリーヌ・ユナちゃんが18番グリーンで走ってやってくるシーン。「ユナはよく歩いて、たくさん走るんだ。ウイニングパットを決めたら、走って抱きついてきてほしい。本当に幸せな気持ちになると思う」

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