青森県内初の洋上風力、中泊町と日本風力が共同計画 全国初の漁港区域内設置

 青森県中泊町は10日、権現崎(小泊岬)を囲む小泊漁港区域内に、日本風力開発(東京)と共同で洋上風力発電所を建設する計画を明らかにした。2029年の稼働開始が目標で、発電能力は最大9万世帯の電力を賄うことができる10万キロワットになる見込み。同町によると、海上に風車を設置するのは県内初。また、漁港区域内の海域への風車設置は全国初のケースになるという。発電によって得られる電力や資金を地域に還元することで、水産業などの1次産業や地域の活性化を図る。

 発電所建設のため、町は7月をめどに日本風力開発などと共同で特別目的会社を設立する。10日行われた臨時町議会で同会社への出資金300万円を盛り込んだ23年度一般会計補正予算案が可決された。出資金は事業調査費として利用する。

 町によると、発電所は権現崎北側の小泊地区沖と、南側の下前地区沖それぞれ約1~1.5キロの範囲に複数基設置する。海底に風車の支柱を固定し、浅瀬でも設置することができる「着床式」を採用する。地元の小泊、下前両漁協も建設に理解を示しているという。

 濱舘豊光町長は取材に対し「風車の高さは海面から200メートルほどになる」と説明。また、設置基数については「15メガワット程度のものが7基」と語った。

 発電した電気は東北電力に売電する計画。また、特別目的会社からは町に固定資産税見合い額が寄付されるという。

 濱舘町長は風車のメンテナンスに関し、県内で技術者を育成し、稼働後に従事させる計画であることを説明。「工業高校を卒業した人たちに(六ケ所村内にある)イオスエンジニアリング&サービスの施設で訓練してもらう。会社とも相談している」と話し、雇用創出につなげていく構想を示した。さらに「(県職員時代に)風力発電に携わってきたが、風車は建つが地元に貢献していない気がしていた。町が出資して、雇用を増やし、地域振興をする。ここが今までとは違う」と強調した。

© 株式会社東奥日報社