びっくり…蹴られた男性死亡 暴行の特養職員、淡々と仕事 我が子同然だった施設長 同僚ら異変に気付く

特養入所者の背中を蹴る 暴行容疑で職員を逮捕

 埼玉県飯能市の特別養護老人ホーム「吾野園」で、入所する男性(90)の背中を蹴飛ばしたとして、飯能署は10日、暴行の疑いで、秩父市野坂町2丁目、同園職員の男(48)を逮捕した。男性は搬送先の病院で死亡した。同署は男性の遺体を司法解剖するなどして、死亡との関連を調べている。

 逮捕容疑は、9日午後1時50分ごろ、飯能市南川の施設内で男性入居者の背中を蹴飛ばした疑い。調べに「間違いありません」と容疑を認めているという。別の職員が男性の異変に気付き、他の職員も駆け付けたが、男性の意識がなくなったという。

■施設長「寡黙で淡々と業務」

 加藤徹留施設長は10日、取材に「職員は私の子どもと同じ。(被害者の)ご家族に申し訳なく思っている」と語り、男について「よくやってくれていた。まだ勉強中なので、これから伸びていくと思った」と振り返る。

 施設職員によると、男は「寡黙だが淡々と業務をこなしていた」という。「過去にトラブルになったこともない。正直びっくりしている」と語る。

 吾野園は飯能市と秩父市をつなぐ国道299号付近の山間に位置している。周辺は住宅もまばらで、目前には高麗川も流れる自然豊かな環境にある。

 施設ホームページなどによると設立は1996年で、4人部屋を基本とした居室15室や浴室、食堂などを備えた2階建て。特養ホームには現在約60人が入居している。

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