交通取り締まり強化…自転車は注意、ヘルメット浸透まだ 高校生に多い死傷者 車の取り締まりポイントは

春の全国交通安全運動、20日まで

 春の全国交通安全運動が11~20日まで行われる。今年の埼玉県内の交通事故死者は9日時点で29人。前年同期比で10人少なく全国ワースト9位となっている。4月1日に自転車に乗る全年代に対してヘルメット着用を努力義務化とする改正道交法が施行されたことを受け、県警でも「自転車乗車時のヘルメット着用促進」などを重点目標に設定。県民に交通ルールの順守と正しい交通マナーの実践を習慣付けるため、県内各地でさまざまな取り組みを実施する。

 県警交通総務課によると、1~4月の県内の交通事故死者28人中、自転車は6人。全員がヘルメットを着用していなかった。負傷者は1507人で、着用率は9.1%にとどまる。

 昨年1年間で見ても、自転車事故死者は16人で非着用率は100%。うち11人(68.8%)が頭部負傷が致命傷で亡くなった。また10人(62.5%)が交差点内での事故で死亡した。年齢層別では高齢者(65歳以上)が10人で62.5%を占めて最多。事故類型別では出合い頭が7人(43.8%)で最も多かった。

 県警では、自転車の交通事故死傷者数に占める割合が高い高校生から自転車ヘルメットの着用促進を図り、全世代に対して安全意識を高めてもらおうと、昨年9月に県立桶川高校を県内初の「自転車ヘルメット着用モデル校」に指定。その後、今年3月にかけて私立埼玉栄中学・高校、県立所沢商業高校、県立熊谷高校、県立三郷高校の4校にも委嘱するなど、4月からのヘルメット着用の努力義務化に向けて、対策を進めてきた。

 負傷者のヘルメット着用率は、今年1~3月が7.6%(1164人中88人)だったのに対して、4月は14.3%(343人中49人)で改正道交法の施行前と後では2倍近くに上昇。ただ徐々に浸透してきてはいるものの、まだまだ着用率が低いのが現状だ。

 交通安全運動期間中、引き続き重点課題の「横断歩道における歩行者優先の徹底」とともに、ヘルメット着用の重要性をいかに多くの県民に訴えることができるかが鍵。交通総務課は「自転車乗車用ヘルメットには交通事故発生時に頭部を守り、被害を軽減する効果が認められている。全ての自転車利用者に対し、着用の促進と正しいヘルメットのかぶり方を広めていきたい」としている。

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