「不適切な保育」914件 虐待90件、初の全国調査

「不適切な保育」の調査結果を発表する小倉こども政策相=12日午前、東京都千代田区

 こども家庭庁は12日、全国の保育所で昨年4月~12月に、園児の心身に悪影響を及ぼす「不適切な保育」が計914件確認されたと発表した。全市区町村を対象にした初の実態調査で明らかになったもので、うち90件は激しく揺さぶるなどの虐待に当たると自治体が判断していた。子どもの安全を脅かす深刻な状況が浮き彫りになり、対策が急務だ。

 施設によって不適切な保育の判断基準にはばらつきがあり、政府は「虐待等と疑われる事案」との考え方を示したガイドラインを新たに策定。小倉将信こども政策担当相は12日の記者会見で、保育所が職員による虐待を把握した場合に、自治体への通報を義務付けるなどの法改正を「速やかに実現したい」と述べた。

 調査は全ての市区町村を対象に実施。保育所などから情報が寄せられたケースを尋ねた。

 自治体が事実確認を行ったのは計1492件。このうち、実際に不適切保育と確認されたのは計914件だった。

 この中には自治体が虐待と認定した計90件が含まれており、東京24件、静岡19件、愛知10件の順だった。

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