「苦しみ18年。一生続くのか」18年前にいじめ被害の男性「神戸市教委の隠蔽、虚偽答弁がおぞましい」

第三者委員会による調査報告書の提出を受け、市教委の姿勢を批判する被害者(左)と被害者の父=12日午前、神戸市中央区加納町6、神戸市役所

 18年前、神戸市立小学校で当時5年生だった男性(28)が同級生から暴行などの被害を受けた問題で、男性らが12日、久元喜造市長宛てに、市長主導で再発防止策などを講じるよう求める要望書を提出した。男性は会見し、第三者による調査委員会の「隠蔽」との指摘を「一部認識が異なる」とした市教育委員会の姿勢を批判した。

 男性は2005~06年に複数の同級生から暴力を受け、7人に約50万円を取られるなどして転校を余儀なくされた。市教委は「被害者本人への聞き取りが不十分」として、いじめと断定してこなかったが、11日、報告書の提出を受けて事実認定した。

 報告書は「(本人から聞き取った内容が含まれる資料を)意図的に秘匿し続けたことは、継続的な隠蔽行為であると評価されても仕方ない」などと指摘した。だが、長田淳教育長は「報告書の具体的な内容を今後精査する」と書面でコメントを出すにとどめた。

 男性は「報告書の提出をもってやっと終わると思っていたが、(市教委とのやりとりは)19年、20年と一生続いていくんだなと感じた」と肩を落とした。長田教育長が会見の場に現れなかったことにも「まずは説明義務を果たすべきだ」とも主張した。

 いじめに遭った期間は「お金を取られ、暴力を受け、死ねとも言われた。つらくて、死ぬという行動に出ることすらめんどくさいと思うほど無気力だった」と振り返った。担任教諭にも助けてもらえず、はしごを外されたような絶望感を味わったといい、「その後も市教委の隠蔽、虚偽答弁がおぞましかった」と語った。

 男性らは長田教育長をはじめ、当時の管理職や担任教諭ら関係者との面談を求める一方で、久元市長に要望書を提出したのは、市教委への不信感からだった。面談に応じるよう指示することや、市長主導で市教委の組織再生と再発防止に取り組むことを求めた。(大橋凜太郎)

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