<金口木舌>無口なのっぽさんの雄弁な工作

 「子どもの目線に合わせて、なんていう言葉は一番嫌いな言葉です。小さいころの自分の賢さを覚えていないんでしょうか」。俳優の高見のっぽさんが以前、共同通信のインタビューで語っていた。「目線を子どもに合わせて下げるなんて、そんなふんぞりかえった言い方はない」

▼NHKの教育番組「できるかな」に、「ノッポさん」として約20年出演した。10日、死去が明らかになり、多くの人が悼んだ

▼番組内では最終回を除いて一言も話さなかったが、トレードマークの帽子をかぶり、ジェスチャーを交えて工作する姿は作る面白さを雄弁に伝えていた

▼「年季の入ったブキッチョ」と自らを表現した。それでも不器用な分、真剣な表情で工作に取り組むノッポさんに多くの子どもたちが魅せられた

▼インタビューでは「私の趣味やセンスを一生懸命、真正面から提供しました」とも語っている。子どもに対し一人の人間として敬意を払い、本気で向き合ってきた。その姿勢に学びたい。週末は子どもと一緒に牛乳パックで工作をしてみよう。

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