サミット会場は出兵拠点 広島・宇品、大陸や南方へ

G7広島サミット会場となるグランドプリンスホテル広島(中央手前)がある半島のような地形の広島市南区元宇品町。後方は市中心部(共同通信社ヘリから)

 19日から始まる先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の会場ホテルは、瀬戸内海に突き出した半島のような地形の広島市南区元宇品町にある。爆心地の南約5キロ。一帯は日清戦争から太平洋戦争まで旧日本陸軍の施設が集まり、中国大陸や南太平洋に兵士を送り出し続けた出兵拠点だった。

 「宇品地区は約50年も戦争をしていたんです」。歴史に詳しい地元ガイドの坂谷晃さん(63)は語る。始まりは1894年の日清戦争。陸軍第5師団が置かれた広島は大陸の戦場に近く、鉄道も通じており兵士や物資を送る基地になった。

 サミット会場になるグランドプリンスホテル広島の目の前がかつて、輸送船の停泊地だった。ホテルを望む公園に当時の石組みの桟橋が一部残っている。ホテルの裏山にも高射砲が置かれ、一帯は要塞化が進んだ。

 将兵も多く住んでいた。東京都杉並区の久保田朋子さん(86)は太平洋戦争当時、宇品の自宅に軍人2人が下宿していた。「報告に来る部下には厳しかったけれど、私たちには優しかった。食料も分けてくれた」と振り返る。

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