「G7広島サミットの経済効果 3200億円超えって本当?」 過去事例を基に専門家が試算

いよいよ、開幕が迫るG7広島サミット。生活する上ではさまざまな制限も予測されますが、関係者たちは口をそろえて期待を語ります。

宮島観光協会 上野隆一郎 事務局長
「3日間、来島制限がかかりますけども、それはカバーできるぐらいの経済効果があるんじゃなかろうかと期待しております」

リーガロイヤル 鈴木浩司 副支配人
「今回、広島に来られた海外のお客さまが現地に帰って、広島の名前をまた広めていただけると期待」

きょうのテーマは、「G7広島サミットの経済効果はハウマッチ?」。その潤いが広がることを願って…。

過去のサミットが 開催地に与えた経済効果

▽ 2008年の洞爺湖サミットでは、北海道内で直接的には350億円、事後を含むと634億円ありました。マツダスタジアムの総事業費(およそ145億円)で換算すると、4つ分以上となります。

▽ 2016年の伊勢志摩サミットでは、三重県内で直接的には483億円、事後を含むと1972億円。マツダスタジアムのおよそ14個分でした。

ある大学の准教授によりますと、今回、広島サミットの経済効果は直接的なものだけで720億~960億円、事後を含めると3000億円を超えるというのです。

もう、「マツダスタジアムが建て放題」と言ってもいいくらいの規模です。「取らぬ狸の…」ではないのか、本当に期待していいのかということで聞いてきました。

山口大学で観光経済学を専門に研究している 加藤真也 准教授です。G7広島サミット開催による経済効果が直接的には720億円から960億円という予測には、ちゃんと理由がありました。

山口大学 加藤真也 准教授
「広島県と三重県の経済規模の差や、もしくは観光客数の比率からすると、今回、G7広島サミットでの経済効果は、2016年の伊勢志摩サミットの経済波及効果が480億円でしたので、だいたい、それの1.5倍から2倍程度の経済波及効果があるのではないかというふうに予想されます」

経済効果 伊勢志摩サミット時の1.5~2倍

その内訳は、サミットの運営そのものにかかるホテルを借りる費用や警備費など、また、海外から来る政府関係者やメディアなどが宿泊や飲食にかける費用だといいます。

さらにサミット後の経済効果 2500億円

さらに、開催後に期待できる経済効果2500億円のうち、観光客の増加分については…

加藤真也 准教授
「観光客に関しては前回、年間の観光客数が7%ほど増えたということがありますので、今回のG7広島サミット後に広島県に対する観光客数も7%ほど増えることが期待できるかと思います」

中でも外国人観光客は激増すると予測します。

加藤真也 准教授
「サミット開催があった2016年において伊勢神宮への外国人観光客の参拝者がだいたい60%ほど平年よりも増えたそうです。伊勢神宮と同じ程度にやはり有名である宮島や平和公園に対する外国人の参拝者数もだいたい60%程度増えるのではないかというふうに考えられます」

期待高まる観光スポット 宮島

ことし3月の来島者数が過去最多を記録した宮島(廿日市市)。日帰りの観光客が多く、滞在時間が短いことが課題になっていましたが、海外からの観光客は宿泊する割合が高いそうです。

宮島観光協会 上野隆一郎 事務局長
「高級な旅館からバックパッカー的なところと非常に幅広い、いい感じでお泊まりになられますね。海外の方は、日本人と比べまして滞在時間が長くて、歴史と文化・自然その全てを楽しまれて帰られているみたいですね」

実際に海外から来た人たちに聞いてみると…

海外からの観光客たち
「ぼくはアウトドア派なんだ。ハイキングが大好きなんだ。最高だよね。ここの雰囲気が大好きで、楽しんでいるよ」

「1日中、過ごして、ホテルに泊まったの。景色が見たくて弥山に登ったわ」

サミット期間中の3日間は、宮島への来島制限がかかるものの、観光協会ではその後の増加分でカバーできると見込んでいます。

宮島観光協会 上野隆一郎 事務局長
「各国の首脳さんがお越しになられた映像とかが国内外へ配信されて、また、それがいいPRになって、後にはたくさんお客さんが増えるんじゃなかろうかというふうに期待しております」

サミット後 国際会議の増加に期待

サミット後に増えるのは、観光客だけではないのです。増加が予測されるのは、国際会議の数です。加藤准教授によりますと、伊勢志摩サミット後に三重県では年間およそ2倍から5倍ほどに増えたそうです。

広島県では、コロナ禍前の2019年で72件と、すでにさかんに開催されているため、2倍の140件程度になると見込まれています。これは、すでに全世界でトップ10に入る規模なのだそうです。さて、ここで問題です。

国際会議を1回開くと 経済効果はハウマッチ?

規模にもよりますが、国際会議を1回開いただけで数千万円といわれています。控えめに言って、1回あたり2000万円の経済効果があると考えると、今回の場合、70件の増加で14億円に上ることに…。

そんな期待感が渦巻くのは、国際会議の会場となるであろうホテルです。

リーガロイヤル広島 鈴木浩司 副総支配人
「(宿泊客は)去年の10月ぐらいから全国旅行支援や、いろいろ水際対策の規制の緩和などがありまして、徐々に増えてきております」

広島市中区のリーガロイヤルホテル広島では、宿泊者数が増えているだけでなく、その中の外国人比率が先月は35%と、コロナ禍前の水準を2か月連続で上回っています。

国際会議に使える会場は31あって、そのうち2つは最大2000人入るという大きなホール。サミット後の利用にも期待を寄せています。

鈴木浩司 副総支配人
「シックな感じの雰囲気で、会議でもパーティーでもレセプション全ての趣旨に対応できるような会場に仕上げております」

現段階ではまだ具体的な予約はないものの、今後の増加に備えて準備を進めているそうです。

リーガロイヤル広島 鈴木浩司 副総支配人
「去年からもう語学の研修・サービスの研修、また料理や飲み物についても知識の高い勉強を今、させていますので、かなりサービススタッフのレベルは徐々に上がってきていると思います。しっかり対応を、お応えできるというふうに思っております」

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