ウクライナ偽情報浸透、当局警戒 あおる不安、妙手なく

通信アプリ「テレグラム」のアイコン=2月(AP=共同)

 ロシアによる偽情報の浸透にウクライナが警戒を続けている。主戦場はロシア出身者が開発し両国で使える人気通信アプリ「テレグラム」。摘発を強化しているが、インターネット空間で増殖する偽情報への即効薬はなく、当局や民間団体は手をこまねいている状況だ。

 テレグラムはLINE(ライン)のように個人で連絡を取り合え、企業や個人がチャンネルを持ち、多数に発信できる。米調査会社はウクライナ国民の7割、約3千万人が利用すると推計。米国際開発局(USAID)によると、侵攻後、情報源として同アプリを利用する国民は前年調査の20%から60%に急増した。

 偽情報の監視団体ボックスチェックのスベタ・スリプチェンコ代表代行は「テレグラムは偽情報を野放しにし、審査なしに自由にチャンネルが開ける」と語る。

 例えば、今年1月、16歳の少年がウクライナ軍に徴兵を命じられたとの文書がテレグラム発で、ネットを駆け巡った。ただ文書は政府の様式に沿っておらず、うそと否定された。(キーウ共同)

通信アプリ「テレグラム」の創業者パベル・ドゥーロフ氏(ゲッティ=共同)

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