計848ページの重みが示すもの 「爆音響く 総集編」発刊 表紙も工夫 嘉手納爆音訴訟40年の歩みまとめる

 【中部】第4次嘉手納爆音訴訟原告団の今郁義(こんいくよし)副団長(76)がこのほど、第3次訴訟を中心に編集した「爆音響く 総集編」を完成させた。A4サイズで848ページの重みがある一冊になった。第1次訴訟が始まった経緯も盛り込み、40年の闘いの歩みをまとめた。今さんは「結果的にぶ厚くなった。読めば訴訟の到達点が分かると思う」と力を込めた。

 今さんは第3次爆音訴訟が終結した後、昨年4月に「爆音響く ダイジェスト版」を作り、原告団全7496世帯に送った。総集編はダイジェスト版を基本に、新たに見つかった資料や新聞集成、各専門分野を担当した弁護士の論文、広報「静かな夜を返せ」などを加えた。

 眠っていた資料を掘り起こしたり、各地に散在していた資料を集めたりした。新たな資料として、第1次訴訟の趣意書や結成大会宣言文などを掲載。1982年に提訴する6年前から準備を進めていたことが判明した。

 タイトルは書家の故仲本晁春さんの詩を本人の許可を得て採用した。「浪静か平和を祈る故郷は」「夜明けの空に」としたためた中央に「爆音響く」を大きく書き付けている。仲本さんが自宅で筆を走らせていた時に爆音が鳴り、心に思い浮かんだことがつづられた作品という。

 表紙には、低空飛行する米軍機とランニングしている人が映った日常風景の写真を使用したほか、嘉手納基地の68年と現在の写真を並べ、問題が過去から地続きであることを示した。

 350部発行し、本島各地の図書館や米軍基地がある自治体に寄贈した。図書館のほか、嘉手納基地爆音訴訟団事務所でも閲覧可能。非売品。今さんは「訴訟の意味を知りたい人にぜひ手に取ってほしい」と話した。

(古川峻)

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