花好きの母の名を店名に 「母の日、感謝伝えて」 那覇の「サム キケロ」 佐々木新さん

 「ありがとう」を伝える日に―。14日は「母の日」。沖縄県那覇市曙の花屋「Sam cicerO(サム キケロ)」の代表・佐々木新(しん)さん(41)は、母の日向けの販売対応に追われた。かつてすさんだ10代を過ごし、周囲の人たちや母和枝さん(70)に多大な心配をかけてきた経験から、母の日には「お世話になった人に感謝を伝えてほしい」と話している。

 20代半ばで県外から帰沖、一念発起し花屋の世界へ飛び込んだ。きっかけは和枝さんが花好きだったこと。

 佐々木さんは数年の下積み期間を経て、難関の国家資格1級フラワー装飾技能士を取得。2020年5月、同店をオープンした。「自分に何ができるのか自問自答してきた。結果、母が好きだった『花』に関わる仕事に進んだ」と振り返る。

 店名の「Sam」は佐々木の「sa」と、英語で「和」を意味する「sum」を合わせた造語。恩返しの意も込めて母和枝さんの名前から一字もらった。「いまだ店名に名前が入っていることは母には話していない」と照れくさそうに話す。「14日は花に添えて、お世話になった人や友人、家族に『ありがとう』を伝える機会にしてほしい」と笑顔を咲かせた。

 (高辻浩之)

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