長崎で被爆死した外国人捕虜の追悼記念碑 オランダ人遺族ら初訪問

完成した記念碑を初めて訪れ、喜びを分かち合うオランダ人元捕虜の遺族ら=長崎市平野町

 戦時中、長崎県長崎市幸町にあった「福岡俘虜(ふりょ)収容所第14分所」に収容され、原爆などで命を落とした外国人捕虜を追悼する記念碑(平野町)を13日、遺族ら約10人が碑の完成後、初めて訪れた。長崎で被爆したオランダ人元捕虜の息子で、オランダ長崎追悼記念碑財団のロブ・シュカウテン代表(64)は「この碑は(民間の)日蘭共同事業で実現した素晴らしい成果」と喜びを語った。
 第14分所は爆心地から約1.7キロの三菱重工業長崎造船所幸町工場内にあった。原爆投下当時、オランダや英国などの捕虜約200人が収容され、8人が被爆死したという。
 碑はオランダの遺族らが設立した同財団と長崎の市民有志で発足した委員会が2021年5月に建立。新型コロナウイルスの影響で、遺族らの来日が実現していなかった。
 記念碑前と長崎原爆資料館ホールで式が開かれ、駐日オランダ公使らも出席。参加者は献花や黙とうで犠牲者を追悼し、世界平和を願った。建立委員会の平野伸人副代表(76)は「(建立まで)多くの困難があり、今日を迎えられて大変うれしく誇らしい」とあいさつ。遺族のロン・メイヤーさん(77)は取材に「碑は収容所の屋根をかたどった部分もありデザインが素晴らしい。とても感慨深い気持ちだ」と話した。
 12日、遺族らが幸町の収容所跡の周辺や国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館などを訪問。シュカウテン代表は「核兵器を使ってはいけないと、ここで確認できた」と語った。

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