G7(先進7カ国)教育相会合は14日、会場を金沢市に移し、富山・金沢宣言を採択した。対話型人工知能(AI)「チャットGPT」など生成AIの活用は学習面に好機だけでなく課題をもたらすとし、「継続的に課題を把握し、リスクを軽減する重要性を認識する」と明記。対面による教育が「最も重要」と強調した。15日に全日程を終え閉幕した。
会合で日本側は、AI活用には利点があるが、思考力低下や著作権侵害などの懸念が指摘されているとの論点を提示した。宣言では、生成AIを含めたデジタル技術の進展は「学習や指導に好機をもたらすと同時に教育システムに課題を提示している」とした。
コロナ禍の休校を経て学校は対面の学びを提供し、子どもが安心して過ごせる居場所であることが示されたと説明。情報通信技術(ICT)については学校の環境整備や教師の能力向上を進める一方、「教師と生徒の対面によるやりとりが引き続き最も重要」とし、ICTはあくまで「補完するもの」と位置付けた。
コロナ禍で停滞した留学の促進を図ることも記した。教員のなり手が不足しているとの意見が各国からあり、業務の適正化や働きやすい労働条件の整備を課題に挙げた。ロシアのウクライナ侵攻も念頭に、世界の子どもが公平で質の高い教育にアクセスできるよう目指すことも宣言した。
議長を務めた永岡桂子文部科学相は記者会見で「困難な課題に連携して取り組む」と話した。