AI課題「継続的に把握」 富山・金沢宣言を採択

五十間長屋を背に記念撮影する各国の代表者=14日午後7時45分、金沢城公園

  ●金大を視察、閉幕

 G7(先進7カ国)教育相会合は14日、会場を金沢市に移して開かれ、対話型人工知能(AI)「チャットGPT」など生成AIの活用は学習面に好機をもたらす一方で課題も考えられるとの見解を表明した富山・金沢宣言を採択した。「継続的に課題を把握し、リスクを軽減する重要性を認識する」との文言を盛り込んだ。15日は金大の視察が行われ、12日に富山市で始まった教育相会合は全日程を終えて閉幕した。

 会合で日本側は、AI活用には利点があるが、思考力低下や著作権侵害などの懸念が指摘されているとの論点を提示した。宣言では、生成AIを含めたデジタル技術の進展は「学習や指導に好機をもたらすと同時に教育システムに課題を提示している」とし、プラスとマイナスの影響を認識していくことで一致した。

 またコロナ禍の休校を経て、学校は対面の学びを提供し、子どもが安心して過ごせる居場所であることが示されたと説明。情報通信技術(ICT)による遠隔授業は対面での教育の代替ではなく、補完するものであると確認した。学校のICT環境整備を続けるとする一方で、「教師と生徒の対面によるやりとりが引き続き最も重要」とした。

 コロナ禍で停滞した留学の促進と、オンラインを活用した学習プログラムの充実を図る。各国から教員のなり手が不足しているとの意見があったため、業務の適正化や働きやすい労働条件の整備を課題に挙げた。ロシアのウクライナ侵攻も念頭に、危機的な状況にある世界の子どもが公平で質の高い教育にアクセスできるよう目指すことも宣言した。

 議長を務める永岡桂子文部科学相は記者会見で「困難な課題に連携して取り組む」と述べた。

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