長崎県内公立校 2022年度 体罰被害65人 懲戒4人 訓告など30人 県教委

県内公立学校の体罰の実態把握調査

 長崎県教委は15日、2022年度に県内公立小中高、特別支援学校で体罰を受けた児童生徒は、前年度比19人増の65人だったと公表した。このうち唇の出血や爪痕が残るなど負傷は5人。体罰をした教職員は同14人増の34人。懲戒処分を受けた4人は過去にも体罰で指導されていた。
 定例教育委員会で報告。特別支援学校はなかった。
 懲戒処分を受けた4人のうち、ある中学教諭は再発防止研修を受講中だった。別の高校教諭は部活動中、練習や授業への姿勢が不十分と、5人の部員に対して平手で顔をたたくなど9件の体罰をした。口止めや暴言など不適切な指導もあり、停職2カ月となった。
 体罰により、教育委員会から訓告等(文書訓告・口頭訓告・厳重注意)を受けたのは同27人増の30人。増加した理由について県教委は「体罰・不適切な指導に関する処分等の取り扱い」を22年4月に改定し、校長による指導をなくし原則教育委員会が指導措置をするよう厳しくした結果としている。
 体罰の内容は「素手でたたく」13件、「たたく、蹴るなど」3件、「棒などでたたく」「投げる・転倒させる」が各1件。不適切な発言や胸ぐらをつかむなど「その他」15件。授業中が12件で最多だった。
 体罰を受けた児童生徒の内訳は小学生16人、中学生8人、高校生41人。把握のきっかけは、児童生徒と保護者からの訴えが29件で最多。教職員による申告は1件で、県教委は「体罰や人権に対する認識の甘さを表している」とした。
 県教委は体罰・不適切な指導を繰り返さないため再発防止研修を一部改定。怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」研修に加え、本年度から人権教育などに関する校外研修の受講を義務付けるなど根絶に向けて取り組んでいる。委員からは「先生が体罰に陥らなくてすむようなフォローの体制も大事」などの意見が上がった。

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