ウクライナ戦禍 加藤登紀子さん、平和の祈り歌に込め 「百万本のバラ物語」21日公演 君津

コンサートに向けて加藤登紀子さんと練習する君津市民合唱団=君津市民文化ホール

 ロシアのウクライナ侵攻による戦火を憂い、歌手の加藤登紀子さん(79)が21日、コンサート「百万本のバラ物語」を君津市民文化ホールで開く。加藤さんは「歌は国を超えて心をつなぐ。分断を消していくことが歌手としての願い」と平和への祈りを込める。

 加藤さんの代表曲になった「百万本のバラ」の原曲は、ウクライナとロシアがまだ同じソ連だった頃の1980年代に流行した。「一つだった国が敵対することになるとは想像しなかった。もう一度歌が人々の心をつないでくれることを願っている」と語る。

 ロシア軍がウクライナに侵攻後、加藤さんは戦火の中で故郷を追われたウクライナの人々への支援を目指し、反戦歌の「イマジン」や「花はどこへ行った」などに加え、「百万本のバラ」のロングバージョンを収めたチャリティーアルバム「果てなき大地の上に」を自費制作。売上金は全額を認定NPO法人「日本チェルノブイリ連帯基金」(長野県松本市)に寄付している。

 また、著書「百万本のバラ物語」も書き上げ、「社会は人を分断する暴力に満ちている。だからこそ歌がある」と思いをつづった。

 満州(現在の中国東北部)のハルビンに生まれた加藤さんは「何でこんな戦争が始まったのか悔しい。ロシア音楽で育ち、父や母も交流に尽くし、ウクライナもロシアも同じ家族として見てきた。力の暴力は私たちを不幸にしている。手をつないで支え合っていけるように音楽を届けたい」と訴える。

 君津公演は、松本市に続くコンサートツアー2日目となる。ウクライナを舞台にしたミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」の中で歌われた「サンライズ・サンセット」を始め、反戦や愛をテーマにした17曲を予定している。

 フィナーレの「百万本のバラ」ロングバージョンでは、君津市民合唱団(久野田芳男団長)もバックコーラスとして出演する。団員らは加藤さんとの練習も含め、準備に余念がない。

 午後4時開演。6500円(全席指定)。問い合わせは君津市民文化ホール(電話)0439(55)3300。

著書「百万本のバラ物語」とCD「果てなき大地の上に」を手に、平和への思いを語る加藤登紀子さん=木更津市

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