生活再建へ始動 罹災証明発行で調査

罹災証明書発行に向け、始まった被害認定調査=16日午前10時20分、珠洲市正院町正院

  ●県、5市町から助っ人回に

 最大震度6強の地震で家屋の損壊が相次いだ珠洲市で16日、被災者が公的支援を受ける際に必要な「罹災(りさい)証明書」の発行に向けた被害認定調査が本格的に始まった。市には500件を超える交付申請が住民から寄せられており、石川県と県内5市町から派遣された職員11人を含む16人が、被災者の生活再建の一助になりたいと作業に取り組んだ。

 罹災証明書は、自治体が建物の被害状況を調べ、「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」「半壊」「準半壊」「一部損壊」の6区分に判定して発行する。

 珠洲市は8日に受け付けを始め、15日時点で492件の申請があった。16日も窓口を訪れる人は絶えず、市職員が対応に追われた。

 「助っ人」として珠洲に入ったのは、県から5人、輪島市2人、七尾市1人、小松市1人、穴水町1人、志賀町1人。11人は珠洲市職員とともに5班に分かれ、正院、蛸島、宝立の3地区で調査を進めた。

 家屋の傾き具合、基礎や壁、天井の破損状況などを調べ、専用の用紙に書き込んだり、写真に収めたりした。

 輪島市職員の谷内正和さん(42)は、2007年の能登半島地震や16年の熊本地震でも家屋調査に当たった。谷内さんは「これまでの経験を生かし、迅速な証明書の発行につなげたい」と力を込めた。

 珠洲市への人的支援は、県内の自治体を中心に広がっており、要配慮者への家庭訪問、災害ごみ仮置き場の運営補助などでも職員が現地入りしている。ボランティアも多数活動しており、正院町正院で1人暮らしをする河本茂さん(58)は「たくさんの人に助けてもらっている。支援の広がりに感謝している」と話した。

  ●今年の累計152回に

 5日の震度6強から、珠洲付近を震源地とする震度1以上の地震は16日正午までに103回あり、今年の累計は152回となった。

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