【リニア工事残土】JR東海の計画認めない考え…静岡県が改めて示す 国有識者会議 16日

リニア工事に伴う南アルプスの環境への影響を議論する、国の有識者会議が開かれた。静岡県は、トンネル工事で出る残土の置き場についてJR東海の計画を認めない考えを改めて示した。

JR東海はリニア新幹線のトンネル工事により、南アルプスの地下水が低下する予測を示していて、県は絶滅の恐れがある動植物への影響を懸念している。国が設置した有識者会議では「水辺の生物」や「高山植物」に与える影響など、3つの論点について議論が続けられている。

16日の会議でJR東海は、「トンネル工事で発生した残土の処理方法」などについて説明した。JR東海はトンネル工事の残土の大半を大井川上流の「ツバクロ」と呼ばれる場所に盛り土する計画を示している。一方、有害物質を含む汚染対策が必要な一部の残土については、さらに下流の「藤島」という場所に置く計画だ。しかし、この「藤島」について、県は2022年施行した「盛り土規制条例」に基づき、「汚染対策が必要な残土を置くことは認められない」と指摘。工事の「区域内」であれば例外的に認める規程もあるが、県は「藤島は南アルプストンネルと離れた場所にあるため同じ区域内ではない」という見解を示している。16日の会議で「藤島」に運ぶ残土の流出防止対策などを説明したJR東海に対し、森副知事は改めて現時点では「認められない」との認識を示した。

(静岡県 森 貴志 副知事)

「藤島沢については現時点で条例に適合しない」「まだ不確定な状況の中で、発生土置き場を前提として進められる計画があるので遺憾」

これに対し、JR東海側は、引き続き県に理解を求めていく考えを示した。

(JR東海 中央新幹線推進本部 澤田 尚夫 副本部長)

「対話を含めて対応を考えていきたい」「引き続き藤島に(残土を)置くということで取り組みをしていきたい」

工事で出た残土の処分をめぐっても、県は厳しい態度で臨む方針だ。

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