11基、4年ぶり勢ぞろい 岩瀬曳山車祭の宵祭り、17日から本祭

宵祭りで町内を巡行する曳山車=富山市岩瀬白山町

 岩瀬諏訪神社(富山市岩瀬白山町)の春季例大祭「岩瀬曳山車祭(ひきやままつり)」の宵祭りは16日行われ、趣向を凝らした飾り「たてもん」に彩られた曳山車が各町内を練った。昨年は新型コロナウイルス感染防止のため全11町のうち5町が曳山車を出さず、11基全てそろうのは4年ぶり。17、18日の本祭は久しぶりの通常開催となり、初夏の港町が活気を帯び始めた。

 各町内では夕方を中心に曳山車が次々と動き始め、日が暮れると明かりのともったたてもんが幻想的に浮かび上がった。たてもんには世相を反映した文言や縁起の良い言葉が判じ絵で描かれている。

 4年ぶりに曳山車を出したのは福来(ふくらい)町、荒木新川町、赤田町、財(たから)町、永割(ながわり)の5町。福来町は岩瀬小の校章と「祝」の文字、花札の点数で合計150点となる絵柄10枚を並べて同校の150周年をたてもんで表現した。総責任者の渡邉芳英さんは「昨年、自分たちで見送りを決めたが、曳山車を出した他の町を見ると、やはりさみしかった」と振り返り、「みんなが楽しみにしている祭り。けがなく安全に終えたい」と語った。

 財町はたてもんに日章と桂馬の駒、さいころ、大福帳、勝ちだるま、松を描き、「日本経済復活を待つ」の願いを込めた。総責任者の保田耕平さんは「子どもが少なくなる中、伝統をつなぐことが大事。気持ちが高ぶっており、にぎにぎしい祭りにしたい」と久しぶりの曳き回しに声を弾ませた。

 岩瀬曳山車祭は各町内の曳山車11基が木遣(きや)り唄(うた)と囃子(はやし)に合わせて港町を2日間にわたって練り回る。富山県内の豪華絢爛(ごうかけんらん)な他の山車と趣が異なり、頑丈な造りが特徴で、色鮮やかなたてもんが飾られる。呼び物は夜の「曳き合い」で、激しいぶつかり合いから「けんか山車」の異名を持つ。岩瀬地区センターによると、17日の曳き合いは同神社前で午後10時開始を見込む。

 2020、21年はコロナ禍で中止となり、昨年は6町内が曳山車を出した。同祭実行委員会の古市剛士委員長(白山町)は「今年はフル開催となり、盛り上がりが昨年と全然違う。コロナを気にせず楽しみたい」と話し、祭りの成功を期した。

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